NOVEL3
□恋愛ゲーム8
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「…なんで断言できるのよ…。」
「…フェリシアはいい子だし美人だし僕とは血縁でもない。」
「ええ、それは知ってるわ。」
「そんな魅力的ないわゆる"異性"がいても僕は恋愛の対象にしたことがなかった。なら、あっちも同じだろう?」
『そういうものかしら?』
リディアには疑問だ。
あ、でも。
あたしも幼なじみはいる。
イアンとは付き合ってはいたけれど……多分"異性"としての意識はしていなかったと思う。
友人というか親友というか…リディアの中ではあまり"男の人"という感じはしなかった。
ダネルもそうだ。
ずっと側にいたけれどリディアにとって恋愛対象ではなかった。
ふーん?
エドガーとフェリシアはお互いにこんな感じ?
自分の立場に置き換えてみて、リディアは初めてエドガーがそう断言できる理由を悟った。
なら、あたしは?
エドガーにとってあたしってなに?
エドガーに《好き》ということ想いを伝えることはできたが、
次のステップである《相手の気持ちを聞くこと》はできない。
だって、エドガーにとってはあんなに美人なフェリシアでさえ恋愛対象じゃないのだから。
もしかしたら、エドガーの恋人はこれまでもこれからもアーミンという人だけなのかもしれない。
そう思うとリディアは複雑な気持ちになった。
「で、リディア。もう9時過ぎだし、夜も遅いから送っていくよ。」
「あ、の…。」
リディアの中でまた競争心が沸いてきた。
「ん?」
「泊まっちゃ、ダメ?」
言いながらリディアはエドガーの様子をこっそり伺う。
なんだか少し機嫌が悪くなった?
リディアがそう思ったのはエドガーの周りを取り巻く空気が変わった気がしたからだ。
「……いいよ、じゃあ客室を用意してもらうから、」
「ここがいいの。」
エドガーが言い終わる前にリディアが言う。
「…へー。」
エドガーはそう言った瞬間、リディアの手首を掴んだ。
痛いほどではないが逃げられないくらいには強く。
「エ、ドガー…?」
怖い…。
この人、誰?
本当にエドガーなの?
「キミはわかってるの?」
「な、なにを?」
「男の部屋に泊まるというのがどういうことか。」
「…………?」
『あぁ、やっぱり初(うぶ)すぎるんだ。というかこっち方面の勉強をもうちょっとすべきだと思う。』
そんなことを考えながらエドガーはリディアを持ち上げた。
「な、なにすんのよ!!」
リディアはエドガーの腕の中でじたばたする。
「お勉強だよ。僕が教えてあげる。」
エドガーは自分の寝室のドアを開けてベッドまで来るとリディアをその上に降ろす。
それからリディアを押し倒して上にのしかかった。
「や、やめて!」
「ふーん?こういう状況になればわかるんだ?でもそれじゃあ遅いよ?」
「…ゃっぱり帰る…。」
「さっき泊まるって言ってたじゃないか。」
エドガーはリディアを見下ろしたまま面白そうに瞳を輝かせる。
「だって…こんなの…。」
リディアは本気で困惑しているようだ。
そんなリディアもまた可愛い。