NOVEL3
□恋愛ゲーム10
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「なんてことなの?」
「…フェリシア様、落ち着いてくださいっ!」
車から身を乗り出そうとするフェリシアをアルが止める。
「大人しそうな顔しておいて淫乱なわけ??」
リディアとダネルが仲良さそうにじゃれあっているのを見て彼女は言う。
エドガーを婚約者に持ち、さらに別の恋人がいるってこと?
(↑と勝手に思い込んでいるが、ふたりは幼なじみでありそれ以上でも以下でもない)
「むしろ僥倖でしょう。」
「何がよ!」
「レディ・リディアとあの男をくっつけてしまえばいいのです。」
「簡単に言ってくれるわね…。彼女はエドガーお兄様の"お父様"が決めた婚約者なのよ?」
「お嬢様のやることは2つ。まずは"自分の方が婚約者に相応しい"とあの方の父上にアピールするのです。」
「もうひとつは何です?」
「レディ・リディアをたきつけるのです。」
「はい?」
「見たところ、彼女はうぶです。」
「どこがうぶなの!男を弄んで…っ」
アルはフェリシアの口に人差し指を当てる。
「私にはわかります。」
「プレイボーイだからかしら?」
「私のどのあたりがプレイボーイなのか教えてほしいものですね。」
「仕えている家の令嬢に手を出すあたりかしらね。」
「なるほど。ならばプレイボーイでもいいです。とにかく、どうしてもエドガー様と結婚したいというのならやるしかないのです。」
「わかってるわよ。…わかってわ…。」
そう、お兄様の妻になりたければリディアを蹴落とすしかない。
けれど、そうした時、彼女はどんな目で私を見るのかしら?
裏切られた!と、憎しみに満ちた視線を射してくるだろうか?
それとも悲しみで絶望に満ちた瞳で……?
とにかく、どちらも向けられたくない気がするのだ。
例えば、リディアがもう少し性格の悪い子だったなら…、もう少し私に対して疑い深かったのなら…きっと躊躇なく傷つけられる。
けれど、躊躇なしにどん底まで突き落とすにはリディアはいい子すぎた。
なにより、リディアの素直でまっすぐな眩しさがフェリシアにはうらやましかった。
私も男として生まれていたなら、彼女のような女性に惹かれたかもしれない、とまで思うほどに…