NOVEL3

□恋愛ゲーム10
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結局、フェリシアからメールは来なかった。


久しぶりに会ったダネルとはしゃぎ回って家に帰ってきたリディアは携帯を見て複雑な気分になる。

たしかにエドガーの話題を引き続き話すことにならなくてよかった、とホッとしたが、
彼女は身体が弱いから何かあったのかもしれない、と心配にもなる。


『フェリシア、何かあったの?』

携帯の画面にそう打ち込んだリディアはしばらく迷っていたが、結局メールは送らなかった。
そのあとの返信にどう対応すべきかわからなかったからだ。


それからリディアは部屋の鏡を覗き込んでため息をつく。

「…恋をすると女性が綺麗になるっていうのは嘘ね。」
…嘘じゃないかもしれない。
けれどあたしには当て嵌まらない。
それどころか性格が悪くなってきてると感じるのはあたしの気のせい?



彼女を好きにならないで…。
彼女の元に行かないで…。


あたしの心はエドガーに向かってそう呟く。


「我が儘ね。」
リディアは知らぬ間に考えていたことを口に出していた。


所詮は政略結婚……いえ、親同士の契約結婚かしら?
むしろあたしがエドガーの婚約者であること自体が奇跡的なことなのだ。


それなのに彼の心がほしいだなんてあたしは我が儘だ。
さらには彼と一緒にいたいくせにフェリシアとも友人でいたいと思ってしまう。
なぜなら、今まで友人というものが一人もいなかったリディアにとって彼女がとても希少な存在だからだ。

もちろん、イアンやダネルのような幼なじみはいた。
けれど同性の友達とはまた違うでしょう?



だからこそ、リディアは今、心の中がごちゃごちゃだ。

「何もかも初心者なのがいけないんだわ!」
リディアはベッドでうずくまる。


恋愛初心者。
女友達をもつのも初心者。


経験があればもっと上手く立ち回れるだろうに…。




彼女は初めて、自分が幼い時に"友達作り"や"恋人作り"をしないで過ごしてきたことを後悔したのだった。
(※イアンと以前付き合ってはいたが、所詮は幼なじみの延長のような関係で、リディアの経験値にはならなかった)


 
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