NOVEL3

□恋愛ゲーム11
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会場とされているこの屋敷の中庭はとても美しかった。
やはり街中ということもあって妖精を見つけることはできなかったけれど、
代わりに、リディアはその花壇に咲いている美しい花たちに吸い寄せられたかのように近づいた。


「わあ。珍しい色の薔薇ね」
中心はピンク色。
そして花びらの外側へ行くほど黄色になる。
ピンクから黄色のグラデーションの薔薇だ。

「あら、レディ・カールトン」
名前を呼ばれて振り返るとそこには見覚えのあるレディが立っていた。

「あ……えーと、レディ・ウォル…」

「ロザリーでいいですわ」
彼女は相変わらず、華やかな容姿をしていて強気な口調でそう言った。
リディアの方は何を言われるのかと思い、無意識のうちに身構える。

彼女とはたしかエドガーの誕生日パーティーで会った。
彼に好意を寄せているらしい彼女はリディアに対してひどく挑戦的であった。


「そんなに身構えなくていいわよ」

「あの、何かご用ですか?」

「私たち、お友達にならない?」

「は……?」
突然の申し出にリディアは思わず間抜けな声を出した。

お友達……?
なぜ??


「あの、なぜですか?」
リディアは自分の思ったことを素直に口にした。

「何よ。友達になるのに理由が必要なわけ?」

「そうじゃなくて……だってロザリーさん、あたしが嫌いだったはず」

「別に嫌いじゃないわ」

「でも、あの時子供っぽいって!」

「…私、彼と一時期恋人だったことがあったのよ」
…まあ、そうだろう。
それはリディアにも予想がついていた。
彼にならよくありそうな話だ。

「それで、別れた理由が"婚約したから"ですって。だから気になったの。彼の婚約者がどんな人なのか」

「………………」

「そうしたら私より年下で恋のひとつも知らなそうな貴女だったからちょっと腹が立ったのよ」

「………………」
リディアには、こういう話をされた場合、どう反応したらいいのかわからない。
だからとりあえず黙って彼女の言い分を聞いてみるのことにしたのだ。


 
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