NOVEL3
□恋愛ゲーム13
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「…なに?」
憂鬱な気持ちで電話に出たせいか予想外に低い声が出た。
『…あの、この前のことを謝りたくて…』
フェリシアが小さな声で言う。
エドガーは受話器を持ったままため息をついた。
この前のこと、というのはパーティーでの発言のことだろう。
(第11話参照)
「謝罪なんていらない」
『でも!きちんと会って話してそれで…』
「…何度も言うけど、僕は彼女が好きだよ」
『知ってますわ。だから…その……この間はお兄様がリディアを真剣に想ってる気持ちを否定して申し訳なくて…』
「…でも諦めてないみたいなこと言ってたよね?」
『…お兄様とリディアが想い合ってるなら…もう、いいんですの』
「………………」
エドガーにはフェリシアが何を考えているのかよくわからない。
女性という生き物はすぐに感情で動きたがるから男には想像もつかないほど恐ろしいことを仕出かしたりもする。
…さて、この間のパーティーの態度がころって変わったのには一体何の意味があるのだろうか?
『明後日の夕方、街の中心の公園に来てほしいの…』
「家ではなく、公園?なぜ?」
『………私はまだ気持ちの整理が完全にできたわけではないからお兄様の家にお邪魔するのも、お兄様を私の家にあげるのも如何なものかと思うの』
「そう…わかった。それで夕方って何時?」
乗り気にはなれないが、一度会っておかないとフェリシアはいつまでも引きずるだろう。
昔からちょっとしつこいところがあったから。
「エドガー様。脱力してらっしゃいますね」
「…フェリシアに会うのは気まずい…」
「エドガー様にもそのような感情がおありで?」
レイヴンが少し意外そうに問うものだから僕は少しむっとする。
「レイヴンは僕を何だと思ってるんだ?」
「…女タラシの冷血漢…または何でも熟す超人ですか?」
「…もういいよ」
…超人とかそんなのじゃなくて普通に人間でいいんだけど…。
というか相変わらず言いにくいことをズバズバ言うよね。
それでもレイヴンのことは憎めないな。
エドガーは苦笑した。