NOVEL
□買い物
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アシェンバート伯爵夫妻はただいま新婚旅行でフランスの首都であるパリにいた。
とある高級店で、リディアの視線はさっきから同じところに注がれている。
きれいな白蝶貝のバッグを見ていたのだ。
「リディア、あれがほしいなら買ってあげるよ?」
リディアはハッとして、
「いいわよ、どうせ似合わないもの。」
と言って店を出る。
『…だって、ものすごく高いんだもの。…エドガーにしてみれば普通なのかもしれないけど。』
と考えながら通りに出た。
「え〜?リディアにだったら似合うと思うのに。」
とかなんとか言いながらながら、エドガーが少し遅れて店から出てきた。
「さて、次はどこに行こうか?」
「え、…まだ何処かに寄るの?」
「だって、パリはロンドンにはないような物もあるし、見ていて楽しいだろう?」
「…まあ、そうよね。」
はっきりいってリディアは高額な商品の見過ぎで疲れていたのだが。
「あ、あの店とかいいんじゃない?」
こんな感じで、その後寄った何軒かの店も、エドガーに引っ張り回されるはめになった。