NOVEL
□微熱
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ある日の朝。
ムクリ…
リディアが目を覚ました。
隣を見ると、エドガーはまだぐっすり眠っているようだ。
時計は6時を差している。
「…早く起きすぎちゃったわね…」
リディアは小さな声で呟く。
しかし、リディアは寝直す気分にもなれず、しばしぼ〜〜っとしていた。
「…ん」
エドガーが身じろぎした。
「あ、起こしちゃった?」
「え…?今……何時?」
エドガーは寝ぼけているのか、しゃべりが遅い。
「えーと、6時過ぎくらいよ。」
「……じゃあもう少し……寝…」
…………スー
最後まで言い終わる前に、気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。
エドガーは再び夢の世界に行ってしまったようだ。
『…幼い子供みたいな寝顔よね。』
かわいい…。
そう思ってしまったことが恥ずかしくなったのか、穏やかに寝息をたてているエドガーの隣でリディアは真っ赤になった。
エドガーの寝顔を見られるのは、リディアの嬉しいことの一つだ。
なぜなら、結婚する前までは、エドガーがリディアの前で寝るなんてことはなかったし…
『いや、…寝たふりはあったわね…』
でも、夫婦になってからだって、たいていはエドガーの方が早く起きているから、寝顔なんて滅多に見れないからだ。
…………。
『あッ、せっかく早く起きたんだし、久しぶりにお菓子を作ろうかしら!!』
リディアは突然思いついた。
『エドガーには、いつもいろんなことをしてもらってばかりだし、日頃のお礼め兼ねて…ね。』
リディアがお菓子作りをするといったら、妖精たちのためのビスケットだ。
エドガーのためにってことは無かったかも…
そんなことを思いながら、リディアはそっとベッドから抜け出した。