NOVEL

□空寝
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アシェンバート伯爵邸に朝がやってきた。



「ふぁー……。」
エドガーが大きな伸びをする。
隣を見るとリディアが眠っている。

「もう8時か…」
リディアを起こさないようにエドガーは小声で言った。

『相変わらずかわいい寝顔だな…。』
なんて心の中で呟きながら、リディアの顔にかかっている髪をよける。

そこで、ふと思い出す。

『エドガーの寝顔って幼くてあどけないわよね。』

と前に言っていたリディアの言葉だ。

『うーん…僕が……幼い?』
そんなことを言われたのが初めてなエドガーは、その時、ちょっと戸惑ったのを覚えている。
普段ははっきり言って、自分が相手の目にどのように映るかなんて把握してる。
というかコントロールしている。
そういう時は幼いなんてありえない。

『普段と寝顔ってそんなに違うものか?』

不思議に思いながら、エドガーはリディアの寝顔に見入る。

リディアは普段は強気な感じの印象がある。

でも、妖精と接している時のリディアはものすごく穏やかな表情をしている。
そう、彼女自身が妖精なんじゃないかと錯覚するくらいに…。

『そういう時の表情と寝顔の印象は同じだけどな…』

そんなことを思っていると……

ピクッ……

リディアが身じろぎした。

『……ん?』
エドガーは試しに頬を撫でてみたがリディアは反応しない。

『クスッ』

エドガーは心の中で笑うと、リディアに悪戯を始めた。

まずは額にキスしてみる。
それから首筋にも。

そのあと耳に息を吹き掛ける。
……しかしリディアは反応しない。

『しかたがないな。』

エドガーは別な悪戯を思いついたようだ。
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