NOVEL

□親友の証
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ある日のティータイムのこと。

「おい、レイウ゛ン。」
ニコがレイウ゛ンを呼び止めた。

「何でしょう、ニコさん。」

「これ、やるよ。」
ニコがレイウ゛ンに手渡したのはシルバーのリングだ。

「あの…これは?」
レイウ゛ンは困った顔をする。
使い道がわからないのだ。

「なんというかさ、いつものお礼だよ。」

「お礼?」

「そう……例えば、いつも俺に熱いお茶を入れてくれたり…」

「………。」

「それにほら、俺のわがままに付き合ってくれたりするだろう?」
わがままを言っているという自覚はあるらしい。

「付き合う………」




…………………!



レイウ゛ンはようやく合点したような顔をした。

「な?わかっただろう。」

「わかりました。」
レイウ゛ンはだいぶ喜んでいるようだ。
ニコもこれで一満足、と思ったのだが…

「これはプロポーズですね。ニコさん。」

「は……?」

「でも、……この指輪は薬指に合いません。」

「あ、ああああたりまえだろ!!それはエンゲージリングじゃねえんだよ!!」
ニコはかなり慌てている。

「違うんですか?」

「違うよ!……いわば…《親友の証》ってとこかな?」

「親友の証?」

「俺ら、友達だろ?」

「はい、友達です。」
レイウ゛ンは断言する。

「だからだよ。」

「では…どの指に嵌めればいいのですか?」

「人差し指じゃね?」

「わかりました。」
レイウ゛ンはまたもや嬉しそうに指輪をはめる。
ピッタリだ。

「うん、やっぱりレイウ゛ンが付けるとカッコイイな。」
ニコも嬉しそうだ。


しかし、レイウ゛ンの最後の言葉にテンションが壊れた。

「ニコさん。」

「ん?なんだ?」

「ありがとうございます。」

「いや、いいんだよ。」

「いつか必ず結婚しましょう。」

「☆¢♂△§£#!!」
↑声にならない叫び。

「ニコさん、どうかしました?」

「〜〜〜〜だから、違うっつってんだろーーーー!!!」
ニコの悲壮な叫びは屋敷中に響いていった。
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