NOVEL
□空寝
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「僕のかわいい妖精。早く起きてくれないと、寂しくて死んじゃいそうだ。」
……心なしか、リディアの顔がちょっと赤くなった気がする。
「僕の愛しいリディア、キミはなんて美しいんだ。まるで花園の妖精のよう……」
「ああーーーー。」
「!!」
リディアがいきなり大声をあげて飛び起きた。
「……びっくりした…」
「え、エドガーが恥ずかしいこと言うからよ!!」
リディアは頭が沸騰しそうなくらい真っ赤になっている。
「だって…リディアが寝たふりするから…」
「……どうして……」
「ん?何?」
「どうして寝たふりだってわかったのよ!!」
「僕はリディアのことだったらなんでもわかるよ。」
例えばリディアが気持ちいいと思う場所とか、
なんて変態発言しているエドガーにリディアはいっそう赤面する。
「な、何言ってるのよ///」
「ところで、どうして空寝なんてしたの?」
「だっていつもエドガーにやられっぱなしなんて悔しいじゃない…。」
「何のこと?」
エドガーはわかっていながらとぼけている。
「貴方の寝たふりにいつもあたしが騙されているってこと!!」
「ふーん。でも結局ばれたわけだ。」
「……そ、…そういうことになるわね…」
リディアは心底悔しそうな顔をしている。
「リディアは嘘つくの、ヘタだからな〜。」
「は?」
「だから僕を欺こうなんて考えない方がいい。」
僕みたく嘘が得意だったら別だけどね、
と満面の笑みで言う。
「リディア、そういえばさっき言い忘れたんだけど…」
「何?」
「キミの寝顔も幼くてかわいいよ、ってこと。」
「な、…////」
「さて、そろそろ起きよっか。」
真っ赤なリディアをさらりと無視してエドガーが言った。
こうして、アシェンバート伯爵夫妻の一日が始まっていった。
END