NOVEL
□バスルームハプニング(表)
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「ねえ、あたし、一緒には入らないわよ///」
「リディアは何をそんなに心配しているの?」
「何を、って……」
リディアは想像した。
リディアの中には、こんな方程式があるのだ。
エドガー=口説き魔(夫)
エドガーとお風呂=あんなことやこんなこと
「えーと……」
リディアは赤くなりながらエドガーを上目使いで見る。
「…キミは僕を煽っているの?」
「ちが…うわ…」
リディアの言葉が途切れているのは、
エドガーにいきなり抱き寄せられて驚いたからだ。
「せっかく理性を総動員させているのに、我慢できなくなりそうだよ。」
リディアは《何を?》とは聞かなかった。
大体は予想がつく。
お風呂の中でもそんなことになるんじゃないかと思うと気が気じゃない。
「じゃあさ。髪を洗ってあげるだけ。」
「え?」
「それなら一緒に入ってくれる?」
意外だった。
エドガーなら風呂でもどこでもリディアを抱こうとするだろう、と思っていたから。
「どうしてそんなに《一緒》にこだわるのよ。」
「リディアとなら一瞬たりとも離れたくない。」
「そ、それはあたしだって…//」
『そう思ってるわよ。』
たまに控えめにしてほしい、と思うこともあるけど。
「それに、リディアの全てを知っているのは僕だけだと思いたい。」
「なによそれ……」
エドガーの独占欲は相変わらずだ。
『本当にしょうがない人。』
リディアはそう思いながら返事した。
「いいわよ。」
「え?」
「髪、洗うだけなら一緒に入ってあげる。」
本当に可愛らしくない返事。
リディアは自分でそう思った。
「本当に?」
エドガーはキラキラした子供みたいな目をしている。
だからリディアは不思議に思うのだ。
こんなに素直じゃないあたしに、どうして心から嬉しそうな微笑みを向けるのだろう。
どうしてあたしなんかを好きになったの?
これはきっと一生わからない疑問だ。
でもリディアは、そんなふうに自分を大切に思ってくれるエドガーが大好きだ。
だからいつも妥協してしまうのだろう。
そしていつも……