記念部屋

□10万HIT記念
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これかって〜」

「これ?」

「うん!!」


娘の小さな指が指すのは・・・風船?

俺は目の前の色とりどりの風船に目を奪われた


へえーーー!

今は色々あるんだ!


「どれがいい?」


あまり、他の子のように“あれ買って”とか“欲しい”とか言わない娘

そういう所も彼女にそっくりだな


「う〜ん・・・」


真剣な顔をしながら選ぶ姿に頬が緩む


愛しいわが子


こんな日が来るなんて思わなかった

彼女によく似た大きな瞳に綺麗な黒髪

自分が家族というものをもって感じる愛しい気持ち

彼女に向けていた愛しい気持ちは

新たな命を授かりまた更に増えていく


「これにする!」

「よし!帰ったらママと一緒にしようか?」

「うん!!」






「「ただいま〜」」

「あ!!お帰りなさい!」


パタパタと玄関まで出迎えてくれる

ママ大好きな娘

今日も先に独占してしまう


「あーあ!また先越されちゃったな・・・」

「え?」

「ははっ、なんでもない!ただいま!」


ちゅっと頬に口付けるとほんのり赤く染まっていく


子どもまでいてると言うのに何時までも変わらないな

きっとずっと変わらないのだろう

そして、きっとずっと気付かないんだろうなあ!


俺が独占したい気持ちなんて・・・

我が子にまで嫉妬してるなんて夢にも思わないんだろうな


「これ何?」

「あーー買ってって珍しく言うからさ・・・」

「風船?」

「うん、風船もさ今は色んな種類があるんだな!
色もいっぱいあるしさ!」

「そっかーー!後で膨らませてみようね!」

「うん!」





「翔太君上手だね!」

「爽が下手なんじゃないの?」


買ってきて風船と格闘する彼女に

おちょくるようにそう言うと少し拗ねる彼女は子供みたいだ


「昔から苦手なの」

「コツがつかめたら簡単なんだろうけどね」


「ふうせんでおそらとべるの?」

「「え??」」

「おそらとびたい!」


突然の娘の発言に一瞬固まってしまう

飛びたいって・・・

無理だよな?


「ふふ」


困っていると優しい笑い声

あ、幸せそう

こちらまで幸せになる

その笑みに優しい気持ちになってくる


「どうしたの?」

「私もね昔、風船で空を飛びたくって」

「へえ」


彼女らしいな・・・

大人になるにつれて物事を打算的にしか考えれなくなっていくけど

こうやって夢や希望を持っていたいと思う

無くしてしまった思いを子どもや彼女から気付かされる事が多い


「やってみよう!」

「え??」

「よし!風船膨らまして飛んでみよう!」


風船で飛ぶ実験をしてみました。


「うわーーー!!ママーー!!パパーー!!とべたよ!!」


飛べるはずなんて無いけど・・・

目の前の笑顔は信じている

この笑顔を無くして欲しくない


「また翔太君に夢を叶えて貰ったね」

「子供騙しだよね・・・」


もっと、ちゃんと叶えてあげたいと思う

叶える事が出来ないジレンマを感じてしまう


「翔太くん・・・夢はね、本人が叶ったと思ったら
周りがなんて言おうと叶ってるんだよ?
あんなに笑ってるだもん!例え子供騙しでも叶ったんだよ
私だっていつも翔太くんには夢を叶えてもらってるよ?」


優しい彼女

俺はどれだけ助けて貰ってきたのだろうか?

夢が叶ったと言ってくれる笑顔に嘘は無い


「うん!ありがとう!この子にも叶えてやろうな!」

「うん!」


新たな命を宿した彼女のお腹をさする


トンッ!とお腹を蹴った様な気がする


二人で顔を見合わせて笑いあった


「早く出てきてね」

「待ってるからな!」


今度は家族四人で飛べるといいな・・・












難関お題でした
お題的にやっぱり子供に助けてもらいました
どうやって実験したかはご想像に(笑)
すみません
あまり、結婚した二人を書かないのでドキドキしちゃいました
子供まで登場しちゃいましたがどうでしたか?
今回はかなり、ほのぼのを目指しました
出来てるかは別として(笑)
お題もあと1話になりました
お付き合い下さっている女神様
本当にありがとうございます
もう、暫くお付き合い下さい



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