記念部屋

□10万HIT記念
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「ごめんなさい」


目の前の彼女は申し訳なさげに俺にぺこりと頭を下げた

もしかしたら俺は誰よりも君の側にいるのではないかと

思ったいたよりも期待していたのだと改めて感じた


彼女にきっちりと恋愛感情で好きだと伝えた

その答えがさっきの“ごめんなさい”


「そっか」


振られて明るく振舞うなんて到底出来なくて

出てきた言葉はそんなちっぽけな呟きだった


「か・風早くんの事は大好きだけど・・・」


“大好き”

振られたと言うのに

その言葉にドキンと心臓が跳ね上がる

好きの意味が違うんだ、俺と彼女では


「れ・恋愛感情では無くて・・・ごめんなさい」


無自覚な彼女は俺を締め付ける

頬を赤く染めると期待して

大好きの言葉に胸がいっぱいになる

きっと・・・これからも


俺・・・諦められるのかな?

告白された事はあるけれど

正直、恋愛なんてよくわかってなかった

自分にそんな気持ちを教えてくれたのは彼女

俺の初めての恋


初恋は実らないって本当なんだな・・・と

冷静に考える自分もいて


「黒沼・・・また、俺と話してくれる?」


これから俺の事好きになってくれるかも知れないなんて

そんな淡い期待を持ってしまう

それほどに俺は彼女が好きなんだ


「も・勿論だよ!私がお願いしたいくらいだよ」


拳を握りしめる姿が愛しい

彼女の言葉に嘘は無い


こんなにも好きなのに・・・


「黒沼・・・」


言葉にする度想いはどんどん加速する

もっともっと好きになるのは解ってる


「黒沼・・・名前で呼んでくれる?」

「え?」

「俺の下の名前知ってる?」

「勿論知ってるよ!」

「呼んでくれないかな?」

一度、矢野たちに誘導された時

彼女は“風早”って呼んだんだよな?

それはそれで新鮮だったけど


「し、翔太くん」


―――――ドキッ!!


や・やばい!

すげえ嬉しい!

まさか呼んでくれるとは思ってなかった

いや、呼んでと言ったのは俺なんだけど・・・


「「//////////////」」


お互い顔が真っ赤なのだろう


「ちょ・ちょっと・・・恥ずかしい/////」


頬を押さえながら恥ずかしそうにする黒沼


「そ・そうだね///ありがとう」


“諦めるよ”とは言えないけれど

まだ期待してしまうけど、ごめんな


「じゃあ、また明日」


俺は黒沼に背を向けて歩き始めた

背中には彼女の視線を感じる


「好きになってくれてありがとう」


小さ声はしっかりと俺に届いた

彼女の優しい想い


・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


あれ?俺・・・


「あ、翔太君起きた?」

「え?黒沼?」


間違いない

俺の目の前にいるのは黒沼

少し目を開いて驚いていたけれど

ふっと優しく笑うその笑みは俺が何度も恋をした笑顔


「懐かしい呼び方するね」

「・・・・・・・・夢?」

「ふふ、高校時代の夢でも見たの?“黒沼”だなんて」



にフラれるを見ました。


「俺・・・・・黒沼に振られてた」

「え?」

「振られているのにまだ好きでさ・・・
すげえ未練たらしくて」


今思い出しても胸が締め付けられる

好きで好きで仕方ない想いは

夢から醒めても同じ


「良かった・・・ここにいた」


俺は愛しい彼女の手をとった

彼女はもう片方の手を重ねて

俺の手を包み込んでふわりと笑う


「いるよ・・・ずっと風早くんの側にいさせて」

「うん」


彼女からの懐かしい呼び方

吸いこまれるように彼女の唇に触れる

暖かな温もりが俺を溶かす


「でも・・・そんな夢見たら今度は怒るよ」


ちょっと拗ねたように言う彼女に今度は俺が笑う

怒る彼女が見れるならそれも良いかな?









記念SS最後になります
題名は伏せておきました〜
オチが解っちゃうんで(笑)
お題は、『10.君にフラれる夢を見ました。』でした
改めて、お越しくださった女神様
本当にありがとうございました
10万HITと言う夢のようなアクセス数に
未だ信じられません
これからもよろしくお願いします



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