記念部屋

□10万HIT記念
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「黒沼ー!今日は一緒に帰れる?」

「う・うん///」


そういう風に聞いてもいい様になったのはつい最近


黒沼に出会って二年目

やっと思いが届いたんだ

ずっと大事にしたいって思う


「じゃあ、帰ろう?」

「あ、に・荷物取ってくるね」


慌てて席に戻る黒沼の姿に顔が緩むのは仕方ないよな

初めての恋で、初めての彼女

どうしたら良いかなんてわからないけど

もう変な誤解だけはしたくないし、させたくない



「お・お待たせ」

「あ、今日は水遣り良かったの?」


いつもは水遣りが終わるのを教室で待つのに

あの時間が本当は凄く好きだったりする

急いで戻って来てくれる黒沼が愛しい


「雨が・・・」

「あ・・・本当だ」


窓を見ると小さく雨が窓を打ちつけていた

雨降ってたんだ・・・

そっか、ちょっと残念だな


「あ・・・俺、傘忘れた!!」


そうだった

今日は昼から雨だとか言ってたような・・・


「あ、それなら私が持ってるのでよかったら」


そ・それって・・・・・

相合傘?//////

やべっ!

これってタナボタってやつ?

まさかこんな風に黒沼と

相合傘が出来る日が来るなんて


「マジで!助かるよ!」

「い・いえ//////お役に立てたなら!」


なるべく平常心を装ってお礼を言うけど

もう俺の気持ちは外の世界へと向かっている


「じゃあ、これどうぞ」


靴箱で渡された傘を受取って広げると真っ青な世界が広がる

へぇ、黒沼が青い傘って意外だな

隣に彼女が並ぶのを待っていると

彼女はガサガサと鞄の中を探して小さな傘を出した

え?それって・・・


「く・黒沼!それ・・・」

「え?あ・・・折りたたみ傘だよ?」


や・やっぱり〜!!

もう一つ持ってたんだ?!

さっきまでの浮かれていた気持ちは一気に萎んで行った


「風早くん?どうしたの?」

「あ・・・」


あまりにテンションが下がってしまって

ろくに話をせずに歩いていると少し寂しげな彼女の顔が見えた

馬鹿!俺!

ちょっとテンションが下がったからって!


「ご・ごめん!ほ!本当は相合傘したかったんだ!」

「え・・・」

「あ・・・・///////ご・ごめん!今の忘れて!」


思わず慌てて本音をぶちまけてしまった

黒沼が退いちゃうじゃん!


「あの/////」


真っ赤になった黒沼は俺の視線からは

耳まで真っ赤になっているのがわかる


顔・・・みたいな・・・


気持ちが通じたあの時に見た黒沼の顔


でも・・・見たらまた止められないよな

触れたくなる



「私も本当はしたかったよ・・・」

「え?」

「あ・あ・相合傘//////」

「―――――っっ!!///」


下からこちらの顔をうかがう様に言う黒沼の顔は

やっぱり真っ赤でこっちまで伝染してしまう



「お・俺のほうがしたいよ!!/////」


なんでそこ競ってんの?俺!


「私だってしたいよ!!」


恥ずかしくて嬉しくて誤魔化すように放った言葉は

何故だか黒沼は気にいらなかったようだ

でもつい俺も意地になってしまった


「俺だよ!先に言ったのは俺なんだからね!」


言ったもん勝ちを主張してみました


「私だって〜〜〜!!!」


あまり見た事ない彼女の拗ねた姿

頬を赤らめた唇を尖らせて


可愛い


恥ずかしいけど、こんな姿が見れるなら

たまにはこんな風に素直に言ってみるのも悪くないかも・・・


ううん・・・これからはいっぱい伝えるよ


だから、今日は・・・


「はい、黒沼!こっち!」

「あ、うん///」


小さな赤い傘を畳んで隣に並ぶ


今日はいつもより近かった












記念SS第六段になります
後半戦に入りました〜
今回挑戦している10のお題では
ほのぼのを目指しています
今回も高校生でしたがどうでしたか?
ちょっとむず痒かった(笑)
たまには、ねっ
あと四つ、残りも楽しんで頂けたら嬉しいなあ




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