記念部屋

□10万HIT記念
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ずっと眺めていた瞼が微かに動いた


「大丈夫?」


声を掛けると重そうな瞼がゆっくりと開く

顔を真っ赤にして・・・

やっぱり辛そうだな


「あ・・・」

「気分どう?急に真っ赤な顔で動かなくなるからびっくりしたよ」


本当にビックリした

休み時間、急に机にポテンと顔を預けたと思ったら

俺たちの声にも全く反応しなくなった


「ここは・・・保健室?」

「うん、熱あるみたいだよ?風邪かな?」

「確・・かに、朝から・・・ちょ・・っと
調子が・・・悪かっ・・・たかも・・・」


真っ白な手を額に当ててゆっくりと唇を動かす黒沼

保健室に運んだ時はもっと顔が赤かった

少し眠ってマシになったのかな?


「俺、送って行くから!」

「そ・そんな!」


俺の言葉にムクッと身体を起こそうとするから

慌ててそれを制した


ホント!こんな時くらいは甘えて欲しいと思う


「動ける様になったら言って?」

「そ・・んな・・ご迷惑を!!」

「黒沼!俺は黒沼のなに?」


辛そうに言葉を紡ぎながらも

甘えてくれそうにない黒沼に

少し、怒った口調で言うと

黒沼は布団を口元まで持っていって

ボソリと呟いた


「こ・恋人で・・・す」

「ん///」


自分から聞いといて何照れてるんだよ!俺!

だけど、黒沼の口から“恋人”だなんて言われると

どうにも、こうにも・・・

嬉しくて口元が緩むのは仕方ないよな


「それ!俺の特権なんだからね!」

「と・特権?」

「そ!黒沼を送って行くのは恋人である俺の特権!」

「でも・・・」


まだ、どこか煮え切らない黒沼に

俺の悪戯心に火が点いた



チュッ


「!!!!!!!!!」

「黒沼が送らせてくれないから
俺が黒沼の風邪もらうよ!」


悪戯心ってか、ただの欲望なんだけど

だって!さっきから真っ赤な顔で目をトロンとさせて

熱を放つ様に呼吸が荒い黒沼

好きな女の子のそんな姿に我慢できる奴なんている?


俺の理性は崩れそうだっんだ!

黒沼は風邪だと言い聞かせて耐えてたんだから!


「か・かえして・・・風早くんに風邪を・・・移してしまう」


“かえして”って!!

可愛い――っっ!

返すって事は・・・



チラッと視界に入った黒沼は

やっぱり真っ赤で、唇は少し開いて熱い息を吐いている


そんな黒沼に理性と言う名の壁は脆くも崩れた


風邪を移そうと試みてみました。



黒沼の唇まであと・・・


いや!ダメダメ!

いや、もちろんキスしたいんだけど

風邪をもらったと言ってしまった手前

黒沼に・・・ってのは気が引ける

別に今ので移ったわけでも無いだろうけど

やっぱり、なんとなくね・・・


理性をもう一度総動員して寸止めに成功した

俺・・・自分を褒めてやりたい


「やっぱ、返せないよ!」


黒沼の辛そうな顔

そんな顔はさせたくない


「かぜ・・はやく・・・ん」


熱の籠もった艶やかな声で名前を呼ばれて胸が高鳴る


チュッ


小さなリップ音


「え?」


え・・・え――――――――っっ!!

黒沼からの・・・・・キス??

夢??

初めての黒沼からの・・・


うわっ!やべ!嬉しい!///


「か・返して・・・もらいます・・・/////」


可愛い――っっ!

またまた悪戯心が再燃した俺は


「ダメ!///」


何て言いながらもう一度キスをして

黒沼からのキスを待ち続けた


結局、風邪が移ったのか移らなかったのかは

また、別の話だけど









記念SS第八段になります
いやー、これはちょっとイラッ(笑)
風早め!
甘目に仕上げて見ましたがどうでしたか
記念SSも残すところあと二つです
ちなみに次も難関です
もう少しお付き合い下さいね
いつもありがとうございます




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