if(君☆届け パラレル)


□騙〜見抜けなかった男〜
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騙〜見抜けなかった男〜最終話



「貞子ちゃん!風早は俺とは違って良い男だしチェリーだから!」


俺は極めて明るく言い放った


「三浦っ!!///」

「チェリー?」

「ふっ、良いのよ!爽子は知らなくて
ほらっ!二人でこのままデートでしょ?行ったら?」

「あ、うん・・・三浦・・・ありがとうな」

「どういたしまして〜〜!」


あやねの言葉に二人はそのまま扉へと向かう

貞子ちゃんが“あ・・・”と小さく呟きこちらを向いた


「え、えっと・・・あの・・・」

「どうしたの?」

「チェリーの意味は解らないけれど
み、三浦さんも、とっても良い人です」

「「「へ?」」」

「あわわっ!わ、私ったら!
私に言われなくてもそんな事解ってますよね!
ご、ごめんなさい!」

「ははっ!貞子ちゃんに言われると良い人に思えるよ!」

「ホント!爽子には参るわね!」


「じゃ、じゃあ、失礼します」

「うん!じゃあね!」



パタン


扉が閉まる音が響き暫く静かな時が流れる






風早と爽子が出ていって扉を眺める男

はぁ・・・


溜め息が静寂を破る

私の溜め息に健人はこちらを向いた


「あやね、あの絵」

「怒った?」

「いや、俺が見抜けなかっただけ」


少し淋しそうな瞳

だけど健人も馬鹿じゃない

解ってるはず

だから怒ってないのよね


「俺じゃあ貞子ちゃんを抱けないよ」

「そうね」


きっと、私が有りのままの爽子を描いていても

健人は彼女を選ばなかったでしょうね


「あやね〜俺にも・・・」


健人は言葉を詰まらせた

健人は少し前の私


誰に抱かれても何も感じなかった

恋なんて知らなかった

愛なんて知らなかった


「見付かるわよ」


健人は目を大きく開き驚いて

ふっと何時もの笑みを向けた


「当たり前じゃん!」


ホントこう言うところは馬鹿ね!

立ち直りが早いっての!


「あやね〜!絵、もう良いや」

「そうね」

「貞子ちゃんいわく俺って良い人だし!」

「見つかったら教えてよ!描いてあげるわ」


私は荷物を持って扉へと向かう

ただのバカ息子の道楽

そう思ってたけど


「結構、楽しかったわよ」

「俺も!旦那に飽きたらいつでも待ってるから!」







あれから、いくつの季節を越えたのか

風早と爽子は相変わらずのバカップル

私達は近くのカフェに来ていた


「か、風早くん・・・ち、近い!」

「こうしてないと吉田が・・・」

「私が何?」

「あっちづちゃん!真田くん!」

「吉田、龍・・・」


今、来た2人は風早の幼なじみと言う事で紹介された

吉田千鶴と真田龍

この2人は私の高校の同級生だった

そしてうちの旦那は風早の中学時代の担任だったらしい


ホント世間は狭い


爽子はそんな様子を“こんな風に縁って繋がってるんだね”

なんて言いながらいつも目を輝かせていた


「今日は二人の婚約祝いでしょ?お店予約してるし行こう」

「風早めー!うちのかわいこちゃんを!」


立ち上がりふとカフェの外に目を向けるとある人物が目に入った


「あ・・・」

「どうしたの?あやねちゃん・・・あ・・・」


爽子も同じように視線を移した


「三浦さん・・・」

「え?三浦?」


そこには健人とお腹の大きな女性

健人は女性を労るように優しい目をしていた


見つけたんだ?

あれから健人とは連絡を取っていなかった


帰ったらメールでもしてやるか



From:あやね
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赤ちゃん産まれたら連絡しなさいよ
家族の絵描かせてよね













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