記念部屋

□20万HIT記念
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パタン
 パタン


開けるたびにメールも着信も無いのを確認しては

パタンと閉じる


何度、この動作を行ってるだろう?



毎日会っていた高校時代と違って

進路が違えば会える時間減るのは勿論わかっていた


俺たちは、高校を卒業してそれぞれ違う大学に進学した

それでも時間を作って

少しでも、10分でも会いたくて毎日会っていた



本当に駅からのほんの少しの時間のときもあったけれど

それでも良かった



会えない日のほうが俺たちには辛かったから


でもそれは無理強いする事ではない事もわかっていた



だけど・・・なあ、黒沼・・・


数日って何日?

暫くってどれくらい?



最後に会ったのって・・・3日前?



あの日、黒沼が申し訳なさそうに言った



「レポートをグループで提出しないといけなくて
 暫く帰りも遅くなるし、数日間はそれにかかりっきりになるの・・・」



聞いたとき特に何にも感じなかったのは本当



「そっか、仕方ないよな」



会えないのは寂しいけど、仕方ないと本当に思っていた

だから黒沼にも不自然さは全くなかったと思う


それよりも、その日の情事に満足できたから


でも、メールや電話は毎日するけれど

会えなくなって3日


たったの3日・・・だよな・・・

でも!でも!


俺には3日も黒沼と会えない事態を

“たったの3日”では済ませなくなっている



そして、もうすぐ4日になろうとしている



「やっべー」ついに口に出してしまった呟きは一人の部屋に響く


3日前にはここにいた彼女を想って・・・



また携帯に手を伸ばして確認しても

やっぱり、メールは届いていない


もう、今日のメールは終わっているのだから


明日になるまであと5分


電話をするのは非常識だ

だとするとメール?


でも、なんて?


暫く会えないって言ってたじゃん!

数日は無理だって・・・


なあ、黒沼

暫くって?

数日って?


3日は暫くじゃない?

3日は数日じゃない


じゃあ・・・4日は?



「はあーーダメだ!」



考えれば考えるほど・・・

所謂・・・禁断症状


――逢いたい


画面に打ち込んだけど・・・

送信は出来ない


まだ3日

たったの3日



だから、せめて4日まで待とう









「風早くん!」

「黒沼!」

「わ、わあ!!」



黒沼が叫んだのは、もう我慢は出来なくてそのまま抱きしめたから


あぁ、これだよ

この温もり



「か、風早くん・・・」

「ごめ・・ちょっとだけ・・・」



本当に情けない声だった

搾り出した声はもう殆ど涙声


でも情けなくてもいい


3日・・・いや、4日間待ち焦がれた

ずっと思い出していた温もりがここにあるのだから


ギュッと強く抱きしめて柔らかさを堪能する



「ごめんな、すげえ、会いたかった・・・」



いきなり抱きしめたから戸惑っていた様子の黒沼が

俺の腕の中で身動ぎしてそっと背中に温もりを降らす



「私も・・・」



一日目はほんの少し寂しかった

だけど電話で聞こえる黒沼の声が

なんだが新鮮で満足した


二日目はぽっかりと穴が空いた

電話で聞こえる黒沼の声だけじゃ満足できなかった


三日目は・・・腕に残る黒沼の暖かさを探した

部屋に残る黒沼の匂いを探した

体中で黒沼の柔らかさを探した


四日目は―――――我儘になった



「もう黒沼以外のことなんて考えられない
















20万HITお礼SS第二段の甘いセリフです!
お付き合い頂きありがとうございます
うぅなんだか甘さが無い
爽たんとの絡みが少ないからでしょうか
甘いのが書けない!日々精進します
また良かったら遊びに来てやって下さいね
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