長い妄想（君☆届連載）Ⅱ
□お似合い
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お似合い 最終話
「あれっ！風早！誰か待ってんの？」
不意に教室の後ろの方から声が掛かり振り替えれば
一年の時のクラスメイトだった
「久しぶり！元気？」
「風早は相変わらずだなぁ？で？誰か待ってるの？」
誰かを強調させて言う言い方に顔が熱くなる
別に隠してる訳でもないし
寧ろ皆には公認なのだからはっきり言えば良いのだけど
何故か照れ臭くって少し拗ねた様に“まぁね”って言えば
ソイツは可笑しそうに笑った
「わ、笑うなよ～」
「ははっ！悪い悪い！」
そう言いながらも顔は笑っていた
ムカつきながらもちょっと助かった
今日も委員会があると言われて彼女を待っていた
もちろんあれから気にしないようにしていたし
お互いの気持ちは一緒だったから……
でも、だからと言って平気では無い
一人だと少し落ち込みそうだった
いや、もう落ち込んでた
やっぱりあの光景が一人になると何度も浮かんできた
黒沼が“待ってて”って言ってくれてなんとか落ち着いた気持ち
「貞子とは上手くやってんだろ？」
黒沼との事を言われて少し驚いた
ソイツはそう言う話をするようなヤツではなかったから
一年の時周りは彼女だの好きな子だの話していても淡白な気がしていたから
俺は苦手な部分ってのがあったけど
ソイツはどちらかと言うと全く興味が無いように感じたから
そんなヤツからの突然の問い掛け
「あ、」
「悪い、言いたく無いよな」
俺が言葉を濁せばストップとばかりに手を広げて俺の前に翳した
「いや、言いたく無いとかじゃないよ」
「でも俺が興味本意で聞くことでもない」
あっさりと言いのけたその言葉は俺の心をすっきりさせた
付き合い始めた時から周りには好奇の目を向けられていた
静かに見守ってくれよと思った事も一度や二度ではない
事あるごとに色々聞かれる
でも、言いたくない気持ちとは裏腹に聞いて欲しい気持ちもあった
ずっとずっと、俺の心に巣食っているもの
「なぁ………俺と………黒沼ってどう？」
「え？」
曖昧な言い方をしてしまう
“どう？”ってなんだよな
でも、聞きたいんだ
俺ってちゃんと黒沼の隣に並べてるのかな？
「貞子は？」
「え？」
「今、貞子待ってんだろ？何やってんの？」
「あ、あぁ、クラス委員の委員会だって」
「ふーん、そういえばうちのクラスの男子が委員長だったな」
庄屋の事だ
庄屋晃弘
ちゃんと調べた
ライバル宣言してきた男だから
「お似合いなんじゃない？」
「え？」
「風早と貞子」
「えっ」
今まで言われたことが無かったからか素直に頭に入ってこなかった
でも、それは言ってほしかった言葉だ
「ちゃんと、彼氏と彼女に見えるよ」
“じゃあな”と俺の背中を叩いて教室を出て行った
「ありがとう！じゃあな！」
慌てて廊下を歩く背中に言った
―――ありがとう
何かを察してくれたのかもしれない
だからそう言ってくれたのかもしれないけど
“お似合い”
俺と黒沼が……
「あーっっ、マジ嬉しいっ！」
「お待たせしました！あれ？ど、どうしたの？」
急いで駆けてきたのだろう黒沼は
少し荒い息遣いで戸惑いながら聞いてきた
「なんでもない！ちょっと嬉しい事があったんだ」
「そっか、良かった」
ホッとする黒沼の手をとった
この前とは違う
ちゃんと並んで帰ろう
「嬉しい事って？」
「………お似合いだって！」
「えっ？」
「俺と黒沼の事っ！そう言ってくれたんだ！」
「わっ！そ、それは……嬉しいっね！」
本当に嬉しそうに笑う黒沼の笑顔が眩しかった
一緒なんだ
いつもそう言ってくれる黒沼
“風早くんだけじゃないよ”と
不安に感じるのも嬉しいと感じるのも一緒なんだ
ギュッと繋いだ手に力を入れれば返してくれる
「凄く嬉しいね」
「うん」
仲良く手を繋ぐ二人の影は
凄くお似合いだった
お付き合いありがとうございました
こちらは3/8 19:42:28の女神様と3/21 21:41:58の女神様からのリクエストでした
内容としては《高校生の時で爽子のことが好きなおとなしそうな真面目な
風早よりも大人な(爽子に似た感じ)の男子が登場して
嫉妬する風早が見たいです！
両思いでも片思いでもいいです！
ちなみにオリキャラは優等生で爽子と委員会が一緒で
一年の春から爽子のことが好きという設定でお願いします！》と
《高校時代(付き合ってる設定)でライバル出現に
ヤキモキする風早がみたいです。
ライバルになにかと爽子の隣りを奪われる凹み早焦れ太希望ですｗ》と
二つのリクエストを一緒にさせて頂きました
ライバル出現は萌えますね～(笑)
本編でもあって欲しい！！
長々と続いてしまいましたが
リクエスト下さった女神様
お付き合い下さった女神様
ありがとうございました
今後とも翠を宜しくお願いします
2011/10/23 完結 翠