長い妄想(君☆届連載)U


□お似合い
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お似合い〜THE・ブリザード〜




「黒沼さん」



教室の後からクラスメートを呼ぶ声に皆の視線が向けられた


そんな視線に怯む事なくその男子はもう一度声を掛けた



「黒沼さん、ちょっと良いかな?」

「あ、はい」



驚いた爽子が立ち上がる時にあやねがそっと尋ねた


“知ってるヤツ?”と


爽子は首を縦に振って
“委員会で同じなの、隣のクラスだよ”と言えば
あやねの顔が一瞬歪んだ


賑やかな教室が何故だか静かに二人の動向を見守っていた


良くも、悪くも注目を浴びているその女生徒―――黒沼爽子


今では特に


二人で並んで何やらプリントと睨めっこする姿に
誰もが思う事があったが誰も言葉に出来なかった


何故なら黒沼の彼氏である風早が睨み付ける様に二人を見ていたから


そんな所にトイレから帰ってきたKYなあの男が声を掛けた



「あっれー?風早どうしたの?怖い顔してー!」



怖いその視線の先を追えばそこにいる二人を見つけた



「貞子じゃん!誰?一緒に居るヤツ」

「知らねぇよ!」



半ば怒りながら答える風早にKYな男は言ってしまった



「それにしても………アイツの方がしっくり来るよな〜」



皆の身体がビクッと震えた



「ジョ、ジョーっ!」

「え?何?」



何もわかっていない男にはぁ〜〜っと皆はため息を吐く
頭を抱えながらチラッと風早を見ればさっきよりも更に怒りを顕にしていた



「だってさあ〜皆も思うんだろ?な?な?
 アイツ真面目そうだし隣にいても違和感無いよな〜」

「俺なら違和感あるのかよ!」



クラスメートはこの数ヶ月で知っていた


最初は皆もジョーと同じ意見だった


中にはまだ認めたくないヤツだって居るだろう



だけど、風早が惚れ込んでいるのは誰からの目でも解ることだったし
優しく彼女を見る目に周りはいつの間にか二人を認め初めていた



「うーん、違和感ではないけど………」



この男は風早が怒っているのに気付かないのか?


周りはもうヒヤヒヤ



風早は普段、明るく爽やかだけど怒るところは怒るヤツで
何度も怒っている場面は見ているが


こと、彼女の黒沼爽子が関わった時は
怒りとは違う冷ややかで背筋が凍るような恐怖を皆が味わっていた


そして、大概、その発端は“男”


黒沼が他の男と喋っただけで睨むわ、舌打ちするわで
どこが爽やかなんだと言いたくなる


そして、今まさにその状況


しかも、KY男子が更に煽りやがった!!



「ジョ、ジョーいい加減にしろよ!良いだろ別に!」



慌てて言葉を遮った男子は救世主なはずなのに
風早の冷気はそちらにも向けられた



「いいじゃん、俺………聞きたいけど?」



こ、こわっ!!



黒いオーラを纏ったソイツは本当に風早翔太なのか?


あの爽やかイケメン風早翔太なのか?



「い、いや………風早っ………えっと………」

「なんだよ、はっきり言えよ」



矛先は既に勇気を出したクラスメートその1へ



「そうそう!風早と貞子はカレカノって感じじゃねぇんだよな!
 良いとこ………兄妹?いや、姉弟だよな!」

「はぁ!?!?」



ジョーっっ!



頼む!黙っててくれっ!!



こういう時に頼りになる男は………



やっぱりっ!
寝てるっ!!


ここは、黒沼の友達にっ………



―――――!!


ダメだ!楽しんでやがるっ!


黒沼の親友である二人のうちの一人はニヤニヤと不敵な笑いを向けている!

もう一人の親友はKYなアイツと同等レベルだ!



ダ、ダメだ〜〜っ!!



今日の教室は雪が降る!


いや、もう豪雪



みんなで埋まろう



冷たい闇に………









あはは、突然書きたく為ったクラスメートのお話!(笑)
序章の様なものとしてお考え下さい
本編は次からで風早視点になります




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