長い妄想(君☆届連載)U


□お似合い
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お似合いB



あれ?遅いな〜
委員会じゃ無かったのかな?


周りの騒つきが遠くなってもなかなか戻って来ない


待つのが嫌とかでも無いけど
戻ってくると思っていた人が来なくて少し不安になる


俺はちょっと様子を見に行ってみようかと足を進めた

別に、会いに…見に行っても良いよな?



今日は視聴覚室って言ってたよな?




あれ?
やっぱりまだ終わってないのかな?


少し先にある視聴覚室からは明かりが漏れていた



中を覗いた事を後悔した



待っていれば良かったんだ


大人しく、黒沼が教室に……
俺の元に戻って来てくれるのを待ってれば良かったんだ



―――痛い


苦しくなる程に胸が痛い



アイツ……

休み時間に来たヤツだよな


同じ委員だったんだ……


よく考えたらわかることだよな
アイツが来た後に黒沼から委員会の話があったのだから……



寄り添って二人で何か考えている様だった



“寄り添う”なんて甘いものでは無いのかも知れない
ってか、委員会だし、違うだろうけど……



吹っ飛んだはずの不安がまた戻ってきた



“違和感”
あの時、ジョーに言われた


本当はわかってた


俺も教室で初めて見た時に感じたけど


打ち消した


それは………



黒沼の隣に並ぶアイツは凄く自然だった

アイツと……黒沼が並んで話をする姿はとても……


お似合いだったんだ






「風早くん!お待たせしました!あれ?風早くん?」

「あ……」



あ、俺………
いつの間にか教室に戻っていたらしい


どうやって戻って来たのかさえも覚えてない



黒沼の顔を見て色々我慢できなかった



「かっ、風早く、ん?」



俺は彼女を腕の中に閉じ込めた

ギュッと強く強く抱き締めても足りない


暫くして戸惑っていた黒沼の手が背中に触れて愛しさが込み上げる

少し力が解ける



「アイツ……」

「え?」

「休み時間に教室に来たヤツ」

「あ、委員長さん?」

「………」



そっか、委員長なんだ


黒沼は副委員長だって言ってたから
ああやって二人で過ごす時間が今までにもあったのだろうか?



「一年生の時も一緒で、私にも普通に接してくれて……」

「俺とは………違う?」

「え?風早くんと?」



“俺とどっちが好き?”なんて子供じみた質問をしそうになるのを堪えた


きっと、今のでも十分子供だけど………



「風早くんと委員長?ち、違うかな?
 委員長は寡黙で大人な感じがするよ?」

「………俺は……子供?」

「あ、そういう意味じゃないよ!」

「……うん……ごめん」



そっと身体を離した



心配そうな顔にチクリと胸が痛む


アイツは、こんな風に嫉妬したりしないのだろう
子供じみた独占欲も無いだろう


きっと黒沼と色々話も出来るんだ……


俺は………嫉妬して、ぶつけて、我が儘言って、独占欲が強くて



―――子供、だ



「帰ろう?」

「………う、うん」



心配する黒沼に優しい言葉一つ掛けれない


不安にさせてる………


背中を向けて情けない顔を見られない様にするのが精一杯だった


ううん、違う……


彼女を見れないんだ


何も出来ない俺だから………


アイツと俺は違うから………



手を繋ぐ事も出来ないで、一つ距離が空いていた



きっと、この距離が



俺と黒沼の距離なのだろう



縮める事も出来ない、



俺と………黒沼の距離なんだ









(来ました!切なめ展開(笑)爽たん頑張ります!(笑))
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