君☆届妄想(矢野×ピン)


□苺〜幸福な家庭〜
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苺〜幸福な家庭〜



「結婚すっか」

「はあ?」



突然、なに言い出すのよ!この男は!


高校を卒業してからもう三年が過ぎて

今年で大学は卒業


そして、私は高校卒業後から

同じ男と付き合っている


何度も喧嘩した

だけど、別れたいとは思わなかった


まさか、この男とこんなに長く付き合うなんてね・・・

高校時代、この破天荒な担任に呆れながらも

どこか頼ってしまっていた気がする


付き合いはじめたのも

はっきりと付き合おうだとか、

好きだ・・・なんて言われたわけでもない


ただ・・・


求めあう様に


ずっと

求めていたかの様に・・・


いつの間にか身体を重ね・・・

そして、今、私はこの悪夢から抜け出せないでいる


ううん


抜け出したいとさえ思っていない


「はあ?って何だよ!」

「何だよって!こっちの台詞よ!」


“腹減ったー”と同じなんじゃない?

ただ言葉が違うだけ

別に特別に夢見てたわけじゃないけど


「そんな簡単なの?」

「あ?」

「あんたにとって、結婚ってそんなに簡単な事なの?」


やだ・・・

声が震える

情けない


夢見てたわけじゃないけど!

仕方なく、言って欲しかったわけじゃない!

たった一度なのに・・・


「簡単なんじゃねぇよ」

「え?」

「簡単じゃねぇ、当たり前の事なんだよ!」

「意味、わかんないんだけど?」


ちっと舌打ちしたかと思えば

耳がうっすら赤く染まっている


「い、一度しか言わねぇからな!!よく聞け!
俺にとっては・・・・・・・
腹が減ったり、眠たくなったりするのと同じくらいよ
てめえと一緒になるのが当たり前の事なんだよ!
解ったか!!!」


なによ、その理屈

解るわけ無いじゃない

だけど・・・


好きの言葉よりも嬉しいだなんて

私も重症ね?


「くそ、ピン・・・」


また、舌打ちが聞こえたかと思えば

私は、大きな身体に包まれていた


乱暴なくせに

俺様なくせに


その腕だけは・・・いつも優しい



「男がいいねぇ〜」

「なに?」


耳元に擽るピンの声が愛しいだなんて

やっぱり、私、末期だわ


「ガキだよ!男で野球だな!」

「ふっ、じゃあ私は女の子が良いわ
あんたみたいな男は懲り懲りよ」

「ちぇっ!俺だってお前みたいな女お断わりだ!」


悪態が甘く感じるなんてね

ピンとの幸福な家庭が目に浮かんで

柄にも無く、泣けてきた


「な・なに、泣いてんだよ!」


ぷっ、相変わらず女の涙には弱いのね

はじめてピンの前で泣いた時も

今みたいに動揺して

抱き締めてくれたよね

あの時、はじめてピンを

元担任じゃなくて男として見たのかも知れない


「幸せの涙よ!」

「ふんっ!す、素直なのも気持ち悪いな!」


気持ち悪いって!

あんた仮にもプロポーズしたんでしょ?


「返事はっ!」

「は?」

「返事もらってねぇんだよ!
結婚するのかしねぇのかどっちだよ!」


返事って・・・

ふっ、それなりに緊張してたのかな?

不安だったのかな?


「あんたと・・・幸福な家庭を作りたい」

「あぁ」


俺様なくせに温かくて

乱暴者のくせに優しくて

意地っ張りで

怖がりで



言ってやらないけど

男の子ならあんたに似て欲しいわ









ピンの一市の“いち”です
苺ってピンじゃねぇって思ったのですが
あやねちゃんがイメージできちゃって
久々のやのピンでした
この二人をリクエスト頂いて
明日これのピンVerを更新しますね!
その時にまた
楽しんで頂けたら嬉しいです

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