other(君/届以外)

□初恋
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初恋




「騙したな!」

「まぁ、まぁ一護はそうでも言わなきゃ来ないでしょ?」

「別に呼んで欲しいなんて思ってねぇって!」



俺の剣幕に目の前のヤツは呆れた様にため息を吐く

その姿に腹が立つ


事の起こりは目の前の男の一言から


放課後帰ろうとした時に声を掛けられた



「一護!金曜だしどっか寄っていこうよ?」

「あー、」



本当は行く気なんて無かった

だけど、どうもコイツには弱い

啓吾なら一蹴りすれば終わる事もコイツ・・・水色には無理だ


何となく交わされていつの間にかコイツのペースにはまってしまう



「たまには良いでしょ?」



コテンと音がなりそうに首を傾げる

これで騙される年上のお姉様は何人居るのだろうか


いや、お姉様どころか男にまで有効なのか?


結局、断り切れ無かった



だけど、そのまま連れてこられたのはファミレス

そこには二人の女子が座っていて
冒頭に戻るって訳だ



「一護もそろそろ彼女作りなよ?モテるのに勿体ないよ?」

「いらねぇよ」



別に興味が無いわけではない

中学時代ならまだしも
高校にもなれば周りでもそんな話で持ちきりだ


もちろん男に興味もない


ただ、動かないんだ


中学時代も、高校に入ってからも何度か告白された事はある

だけど、可愛いとか
綺麗だとか


女にそんな感情を持った事が無かった


水色曰く、“とりあえず付き合ってみれば?”
なんて軽く言われた事もあるけど


とりあえずなんて、そんな器用な事は俺には出来なくて
周りが、やれクラスの○○が可愛いとか
付き合いたいとか言ってても俺にはわからなかった



ましてや、こんな風に合コン擬いでの出会いには嫌悪感さえ抱いていた



「一護は潔癖過ぎるんだよ〜」

「意味わかんねぇし」

「まぁ、いいじゃない?彼を見習えば?」



水色の視線を追うように
視線を移せば嬉しそうに話す啓吾の姿


人懐っこいのか、節操がないのか・・・



後者だな



「あれ?そっちは二人?」

「後でもう一人来るよー?」



結局、諦めて向かい側の席に座る


茶色に染めた髪に綺麗な化粧

啓吾のテンションから考えと
きっと、可愛い部類に属するのだろう


いや、ストライクゾーンが広すぎるのか?



「水色・・・俺、やっぱ帰「遅くなりましてすみません」」



帰ろうと座っていた席から腰を上げる
俺の言葉を遮るように聞こえてきたのは
紛れもなく女の声


みんなの視線が集まる



艶やかな黒髪
化粧っけの無い肌

小さな身体とは裏腹に

大きな瞳が印象的だった



「うわっ!凄い美人だね」

「ぼ、僕!浅野啓吾と言います!」



美人・・・


確かに彼女を見た人間はそう言うだろう


な、なんだ?

異様に打ち付ける心臓の音が脳内まで響く



「あ、」



彼女の瞳と交差すれば
俺は力が抜けてそのまま席に座っていた



「お待たせしてしまって申し訳ありませんでした」

「いいよいいよーこんな美人になら待たさせるのもいいよー!」

「ホント、気にしないでね、」

「お、お名前は?」

「私、朽木ルキアです」



“朽木ルキア”


ストンと落ちてきた名前

きっと、忘れない
忘れられない名前



「一護、惚れちゃった?」

「なっ///」

「来て良かったでしょ?」



反論が出来なかった

惚れた?
俺が?


この胸の高鳴りを
早まる鼓動の
その意味を理解するのはもう少し先の話


今はこのまま目の前の彼女の姿を焼き付けていた












はじめまして
翠と申しますm(__)m

初イチルキSS
こちらにお越しくださった女神サマは
パラレルオッケーって事で(笑)
これからもよろしくお願いします




2010/02/18

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