萌の頂き物☆


□両想いのキセキ
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<設定>

* 高校生 風早高2、爽子高1 パラレル

* 風早野球部所属、爽子マネージャー

* 両想い


こんな感じでいきます。以下にどうぞ♪





「両想いのキセキ」




俺たちのユニフォームを洗濯しながら嬉しそうに微笑む彼女。
風に揺れる黒髪。

白い肌にほんのりピンクの頬。


「あ・・・・」


彼女と目が合ってハッとする。
また見ていたことに気づいた。
でも、以前ならすぐに視線を逸らせないといけなかったけど、もうそんな必要はないんだ。


だって・・・・付き合ってるんだから。


目が合うたびに林檎みたいに真っ赤になって恥ずかしそうにする彼女をいつでも見ていていいんだ。
たまらないほど・・・・好きなのだから。


「か・・・風早先輩、こんにちわっ////」

「こんにちわ」


付き合っても何も変わらなくて。
笑顔でそう言うと、もっと真っ赤になって笑うんだ。
彼女は心から嬉しい時に笑う。
そのことに気づいてから笑顔が増えた彼女を見ると両想いなんだって・・・・・実感する。



黒沼爽子。
彼女が野球部の門を叩いてからもうすぐ1年になる。
新入生だった彼女もすっかりマネージャーの仕事が板についている。
3人いる女子マネの中で一番よく働く彼女は誰も見ていないところでいつも面倒な仕事をしていることを俺は知っている。
それは全て彼女がしたくてやっていることだと知った。
なぜなら人の役に立っていることが分かると本当に花のようにふんわり笑うから。


あんな笑顔・・・・知っているのは俺だけ?


誰にも見て欲しくない・・・なんて思うのは俺のエゴだって分かってる。
だけど、彼女を知れば知るほど、愛しさが募っていく。
そんな彼女を一人占めしたいというのは我儘だろうか・・・?
両想いのキセキは俺を欲張りにさせていく。


(あぁ・・・・今日もかわいいな)


「彼女・・・・黒沼、すっかり慣れたじゃん」

「わっ///りゅ、龍?・・・・うん」


ボール磨きをしていたら龍がやって来て、遠くの黒沼を見て呟いた。
龍だけは俺たちが付き合っているのを知っている。
風早は照れた表情で頷いた。


「もう、コワイなんて言う奴いないな」

「ん・・・」


最初の頃彼女は表情も固くて、なぜだか怖がられていたようだ。


「しょーたのおかげかもな。ま、しょーたには最初から違ったけど」

「/////」


龍にニヤッとして言われてまたまた恥ずかしくなった。


今の方がもちろん笑顔の回数は増えたけど、最初から彼女の透き通った瞳や笑
顔は変わらない。
初めて彼女の笑顔を見た時、身体中に電流が走った。

後で知った。
これが恋に落ちる瞬間なんだと。


「でも呑気に構えてられないかもな」

「え?・・・どういうこと?」

「いや、気にするな」

「・・・・」


そのまま練習時間になり、そのことについて話すことはなかったけど、龍の言った言葉の意味がすぐに分かることになる。


* * *


この日は練習の後、顧問であるピンに呼び止められて30分以上も訳の分からない説教を聞くことになった。
やっと終えて急いで部室に向かう。


「げ・・・もうこんな時間じゃん。ピンの奴っ・・・」


毎日黒沼と一緒に帰るのが日課になっていて、たまにこうやって黒沼を待たせてしまう。
付き合い始めたばかりだから、周囲に邪魔されたくなくてこっそり会うことが多かった。
早く堂々と会いたいからどうやって周囲に伝えよう?と思っていた。


そんな時・・・・。


「黒沼、俺と付き合わない?」

「え・・・?」


どくんっ


部室のドアノブに手をかけようとした時、中から聞こえてきた声。
俺の心臓が大きく脈打った。


(…三宅?)


この声は黒沼と同じ年でピッチャーの三宅だった。
一年の中では唯一レギュラーで有望な選手だが、かなり自信家だったりする。


「つ・・・きあう?あの・・・どこへ?」

「え??」


わっははは〜〜〜っ


中で三宅の大笑いが聞こえる。


「面白いね、やっぱ黒沼って。・・・・・そんなこと想像もしてくれないの?」

「え・・・っと?」

「好きな人いるの?」

「えっ////」

「いや、俺はさ、最初から黒沼のことかわいいって思ってたんだよ」


ばんっっー


我慢できなかった。
思いっきり部室のドアを開けると、二人は一斉にこちらを向いた。
三宅が彼女の腕に触れているところがすぐに視界に入る。
それを見ると、身体が熱くなり、血流が早くなる感覚を覚えた。

もう・・・止められなかった。


俺はわざと大きく音を立てながら二人の方に進んでいった。

この時の俺はかなり目が据わっていたと思う。


「か・・・風早部長?」


驚いた表情の三宅と彼女の間に入って彼女の手をぐいっと引っ張った。
黒沼が大きな目を見開いて固まっているのが分かったけど、止められなかった。
俺は三宅を睨みつけて言った。


「俺の彼女だから」

「え・・・・?」


それだけでは物足らずに、彼女を隠すように抱きしめた。


「今後一切・・・彼女に触れるなっ!」


ばんっっーっ


きょとんとした表情の三宅を残し、そのまま彼女を連れ去って部室を出た。
とにかく遠くへ。
二人だけの世界に。
俺は無我夢中で彼女を連れて走った。


「はぁ・・・はぁっ・・・せ、せんぱい・・・風早先輩っ!!」


そして学校を出てしばらく走ったブロックの角で俺は止まった。
膝を抱えながら息を整える。
彼女に嫌われたに決まっている。
でも・・・どうしようもなくて。

両想いのキセキはたまらないほど愛しい感情と初めて感じる黒い感情を俺に運んできたんだ。


「我慢・・・できなかった」


俺は彼女の顔が見れずに背中を向けながらしゃがみこんで言った。
その時、はりがねのように固くなった俺の背中にふわっと柔らかくて暖かい感覚を感じた。


「嬉しかった・・・です」

キセキ・・・が起こった。


彼女が俺の背中を包み込んでくれていた。


「”彼女”って言ってくれたこと・・・・嬉しかった」


彼女の震えた小さな声が俺の黒い気持ちを浄化させていく。
好きすぎていつか彼女を潰してしまうかもしれない。
上手くコントロールできない気持ち。


俺は泣きそうな気持ちを奮い立たせてゆっくりと立ち上がると、彼女の方に身体を向けた。
でも恥ずかしくて彼女の目を見れない。


「ご・・・・ごめん、俺、服汚いから///」

「わっ・・・ごめんなさいっ///」


彼女はハッとした表情で焦ったように離れた。
そんな素直な彼女がもどかしくって・・・・たまらないほどかわい。


風早は穏やかな表情で微笑んだ。


「黒沼・・・好きだよ。でもごめんな・・・独占欲強くって俺・・・っ」

「独占・・・欲?」


頬を染めながらきょとんとしている彼女が愛しい。


(やっぱ・・・我慢できないっ)


俺はたまらず彼女をぎゅっと抱きしめた。
この柔らかい感覚をずっと、ずっと感じていたい。
長い指通りの良い黒髪に触れることができるのは俺だけでありたい。


「わ・・・私も独占欲強いですっ」

「え?」

「だって・・・・だっていつでも・・・・ずっと」


”風早先輩を一人占めしたい・・・から”


その後、お互い真っ赤になって帰った冬の日。
どんな俺も受け入れてくれる彼女に心がぽかぽかになった。
こうやって年月が過ぎていくと、両想いのキセキが当たり前だと思う日が来るのかな・・・・?


いや、ずっと当たり前なんかじゃない。


彼女が側にいる限り・・・。


横を向くと、今まで一番嬉しそうに笑っている彼女の笑顔があった。



<おわり>





P・S 翠さま、サイト2周年おめでとうございますヽ(´▽`)/
翠さまの存在は私のオアシス・癒しそして日課(笑)です。
いつも爽風萌えさせて頂いてありがとうございます。
これからも応援しています。
お体に気を付けて創作を続けて下さいね!!


sawalove




翠より
わあーん!ありがとうございます(^^)v
萌えます!
大好きなsawalove様からリクエストさせて頂き書いて下さいました
お言葉に甘えて飾らして頂きますm(__)m
それにしても、sawalove様はどうしてこんなにも私のツボを突くのでしょう
もうっ大好きっ!
本当にありがとうございました




2012/02/10 翠
 

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