萌の頂き物☆


□未来妄想図
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今日は黒沼の様子がおかしいな。

図書館で勉強中の風早は、向かい側に座る爽子を盗み見ていた。
いつもなら、席に座って5分も経たないうちに勉強や読書に集中する爽子。
ときおり風早の方へ眼を向けて、視線があうと途端にあわあわする爽子。

でも、今日は違う。

席についても何だかそわそわしているような、
時折ぼうっとうっとりしているような。

くろぬま?

小声でそっと呼びかけてみるとハッと我に返った爽子。
尋ねるような風早の目線に、爽子は笑って窓の外を指さした。

窓の外には、たくさんの着物を着たお姉さん達が行きかっている。
そう。今日は成人式。
図書館の側にある北幌市民文化会館に集う人たち。

綺麗だよね。
爽子の心底羨ましそうな表情を見て風早も頬を緩める。

うん。
きっと。
振り袖姿の黒沼もきっと綺麗で、きっと可愛い。

「あと3年したら、私たちも大人、なんだよね。」
2人で同じような台詞を言って、くすくす笑いあう。

「大人になったら何がしたい?」
「うーん。なんだろう?
あ。お酒飲んでみたいな。お父さんが美味しそうにビール飲んでるから。
ちょっと味わってみたいかも。」
「俺は免許とりたい。あ。でも免許は18歳からとれるんだよな。」

あと、大人になったら出来ること。
選挙でしょ?あとは・・・・・・


「結婚なんかも出来ちゃうんだよね。」

風早の言葉にかああっと赤くなる爽子は
「えっと・・・・結婚はもうできる年齢、です。」
と告げたが、
「あああ。でも、結婚出来る年齢って変わるかも、って新聞で読んだかも。」
不確かな情報を風早くんに与えてしまった!
と顔を青ざめさせて言う。


ちょっと考えた風早はにこっと爽子に笑いかける。
「成人式も、きっと2人で行こうな。」
「う、うんっ!」

思わず大きな声を出した爽子は、他の席からの咳払いに「ごめんなさい」と顔を赤くした。

爽子は成人式を迎えた風早のスーツ姿を想像してドキドキしていた。
一方の風早はと言えば
「成人式の時には、黒沼と結婚出来てたらいいのにな。」
などと考えていた。

おしまい。






きゃーん!!ぴろろん様から頂いてしまいました〜
実は娘が今年成人式を迎えまして・・・
それを以前チャットで話したら書いてくださっていたのです〜
それを聞いたのは先日チャットで失礼を承知でお願いしたら
快く承諾してくださいました〜!
以前からこちらの作品は読ませて頂いていて
あー!素敵だなあ!
こうやって高校生の子達が眺めてくれてるのかなあ!って
感慨深い思いをしたのを覚えています。
きっと爽子の晴れ姿に風早は悶絶し隠すのに必死だろうなあ!なんて
妄想までしてしまいましたとも!
ぴろろん様!ホントにホントにありがとうごさいました!
 

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