相棒長編

□第3話冥界からの警告
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 「おはようございます。」
「おはようございます。」
翌朝、神戸はすっきりしない気持ちで登庁した。
「どうかしましたか?」
鋭い上司は部下の異変にすぐさま気が付いた。
「あっ、いえ…その…杉下さんは幽霊なんて信じて…ませんよね。」
「信じてますよ。」
「えっ!?」
「世の中、科学で説明のつく事ばかりではありませんからねえ。」
「まあ、確かに。」
「ところで、君がそのような話をするということは、見たのですね、幽霊を。」
「えっ、ええ。」
「羨ましいですねえ。で、どんな幽霊だったんですか?」
「それが…ただの幽霊じゃないんです。」
「というと?」
「その幽霊、朝倉禄朗って名乗ったんです。」
神戸の発言に、右京の顔が強張った。
「朝倉禄朗ってなしか、平成の切り裂きジャックって言われた男ですよね?」
「ええ。平成の切り裂きジャックは僕と君の前任の亀山君で解決した事件で、彼は亀山君の無二の親友でした…。」
「えっ…。」
意外な事実に、神戸は言葉を失った。
「昨日の事、詳しく話してくれませんか?」
「あっ、はい。」
神戸は昨日の出来事について話した。
「そうですか。彼の警告は無視できません。念のため、気を付けた方が良いでしょうねえ。」
 そんな事を話していると、五課の角田がコーヒーを飲みにやってきた。
「よっ、暇か?」
「ええ、まあ。」
「なら、拳銃のガサ入れを手伝ってよ。」
「えっと…。」
「かまいませんよ。」
「えっ!?」
右京の言葉に、神戸は耳を疑った。
「気を付けるんじゃなかったのかよ。」
神戸がボヤいてる間に、右京はさっさと準備を進めていた。
「置いていきますよ。」
それを聞いた神戸は、慌てて後を追った。
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