Inuyasha
□夢を見たあとで
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「"それもある"って…他にあんのかよ?」
「え〜っと…」
困っているかごめを見て、犬夜叉はなんだか悪いことをしている気分になって、ひとつため息をついた。
「悪い…言いたくないなら言わなくていい」
そう言ってもとの定位置に戻ろうと立ち上がったとき、不意に袖をつかまれた。
「どうした?」
「……」
「かごめ…?」
「行かないで…」
「…?」
「ずっとそばにいて…」
その言葉はかごめがうなされていた間何度も彼女の口から出ていた言葉だった。
その彼女の目は見覚えがある。
それは、旅をしていたころ、かの巫女のもとへ自分が行ったときに見る哀しく笑うかごめの目。
桔梗が死んだ今もなおかごめは自分のせいで苦しんでいたのだと犬夜叉は思った。
「かごめ…」
「…っご、ごめん!私何言ってんだろ……」
そう言ってかごめは犬夜叉の袖を掴んでいた手を放したが、今度は犬夜叉がその手を掴んだ。
「…お前をその苦しみから解放させるためには、俺はお前になにをしてやれる…?」
「犬夜叉…」
「かごめがなにかあるごとに苦しむ姿をもう見たくねえんだ」
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