小説
□花粉症
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痒い目をこすりながら購買についた。そして、見つかるだろうか、という心配はすぐになくなった。
今の時期は買う人が多いらしく、花粉症のコーナーがあった。
薬がたくさんあってよく分からないので、とりあえずマスクを手に取る。他にも目薬や塗り薬等があったが、大丈夫だろうと思って会計に行こうとすると、
「あや?せっちゃん?」
「あ、本当だ」
「・・!お嬢様にアスナさん」
「こんな所におるなんて珍しね、何買うてたん・・って、マスク?」
「あ・・これは・・」
「もしかして、刹那さん花粉症なの?」
「いや・・あ、・・これは龍宮にです。花粉症になってしまったみたいで」
「せっちゃん、そんな真っ赤な目で言われても説得力ないえ」
「・・えっ?!」
・・あ、目を掻いていたからか。
「今の慌てよう、やっぱり刹那さん花粉症なんだ〜」
私が慌てたのを違う意味でとらえたアスナさん。・・もう言い訳はできそうにない。
「・・はい。今年からなってしまったみたいで」
「えー、大丈夫なん?ならもっと色々買わんと!」
そう言って、お嬢様は塗り薬やら目薬やらを手に取る。
「コラコラ、このか。それは買いすぎだって」
「えー、でも花粉症て大変なんやろ?」
「まぁ。・・あ、私も自分の買わなきゃ」
そう言って、マスクや薬等いくつか手に取ると会計に行くアスナさん。
「アスナさんも花粉症なんですか?」
「うん、去年からなったて言うてたかな〜」
「そうですか。・・花粉症がこんなに辛いとは思いませんでした」
また目を掻いてしまう。
「あ、あんま強く掻いたらあかんで」
「・・はい。でも・・」
我慢できずにどうしても掻いてしまう。
「せっちゃんてばぁ」
「はい、刹那さん」
「アスナさん?」
「この目薬さして、少し我慢して。後は冷えたタオルとかが痒みがひくよ」
「・・ありがとうございます」
言われたとおりにやってみる。
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