-空手紙-
□第2話
1ページ/1ページ
プロローグ弐から、一週間。
劉斗は一人、コンビニの袋を手に提げて、神社へと続く道を歩いていた。
ひたすら歩き、やっと神社に着く。
「凛音!」
凛音を大声で呼ぶ。(神社で大声を出していいのか…)
すると、神社の境内から、凛音がヒョコッ、と、顔を覗かせ、目を輝かせる。
「あ、リュウトっ!来てくれたんだ☆」
「…まぁ、一応、協力するって言っちまったしな。」
そう言いつつ、地面にシートを広げて座り、コンビニの袋からシュークリームを五つ取り出した。
「ほら、凛音。シュークリーム、買ってきたぞ。」
「わぁい!いっただっきまぁ〜す!!!」
「あ、こら、凛音、一つは俺のだからなっ!」
ほほえましい光景であるかも知れないが、実際、凛音は、劉斗と慧にしか見えないようになっていて。
他人から見れば劉斗は、
軽く変質者であった。
しかし、不幸中の幸とでも言うのか…
人はこの神社に来ることはない。
だから劉斗は安心して大声を出せるというわけである。
「そういえば、凛音。」
「ん〜?」
思いついたように凛音を呼ぶ。
「空手紙は集まったのか?」
口の端にクリームをつけて凛音が答える。
「ん〜とねぇ、全然ダメ…(泣)」
「一つも集まってないのか?」
「うゅ…ごめんなしゃい」
うるうるとした瞳で凛音に見つめられ、言い返すことができない劉斗。
「ま、まぁ、別にお前を責めてるわけじゃねーけど。」
「あ、そーなの?てっきり責められてるのかと…はぁぁぁあ…よかった…これで安心してシュークリームが食べられるよ!」
「…お前なぁ、神様なんだろ?もっとしっかりしろよ…」
「えへへ〜ゴメンゴメン;」
「ったく…」
そんな会話をしていると、
「劉斗!空手紙、一通落ちてたよ!」
慧がヒラヒラと、水色の封筒を振りながら歩いてきた。
「あーっ!ケイ!どうしたの、その空手紙!」
「そこの坂に落ちてたんだ。」
「ここに来る途中に力尽きちまったみたいだな。かなり遠くから飛ばされてきたんだろう。」
「リュウトすごい!そんな事までわかるんだ!」
「…まぁ、一応、呪術師だし。それより、中身、なんて書いてるんだ?」
中身の文章は凛音にしか読めない文字に変換されている。
ピリリ、と封筒の上を破き、なかから便箋をとりだす。
「…っ…リュウト…」
「凛音?どうした?」
「これ…」
「なんて書いてある?」
そこには、劉斗たちも読める文字で、こう、書かれていた。
『コロシタイヒトガイル』
と…
P.S.あぁぁぁ、スイマセンスイマセン;
別にホラーじゃないですからっ!