その他短編
□落し物
4ページ/11ページ
こうして、夕葉は沖田総司の小姓を勤める事になり、立派に仕事をこなしていた。
『お茶です。』
総)「見回りの時に、お菓子を買ったので、一緒に食べましょうw」
『私も食べていいんですか??』
総)「もちろんです。夕葉さんのために買って来たんですから。」
『ありがとうございます。』
2人が縁側でお菓子を食べている頃…
土方は、そんな2人の姿を目にした。
歳)「中々よく働く小姓だな…なあ、市村。」
鉄)「ウゲッ…!!」
歳)「また茶をこぼしたな、…それと、洗濯やり直し。」
鉄)「はー…」
市村鉄之助、ため息をついて洗濯やり直し。
『…あ、鉄くん。』
総)「また、土方さんに怒られちゃってますねー」
ふと、沖田の膝に居た豚、サイゾーを見て、夕葉は呟いた。
『…サイゾーって、土方さんに似てますね。』
総)「そうですねー…ここには、似た者同士が4人^^」
『…4人も居ます??』
総)「ええ。」
夕葉は『4人…??』と、疑問符を頭に浮かべ、
『土方さんでしょ、サイゾーでしょ…あとは…鉄君??…それとー…誰…??』
と呟いていた。
沖田は、そんな夕葉の姿を、大笑いするのをこらえながら見ていた。
『…沖田先生、ご馳走様でした。私、少し鉄君を手伝ってきますね。』
そう告げて、彼女はその場を立ち去る。
『鉄君!!手伝うよ!!』
鉄)「お、夕葉、ありがとな!!」
鉄と夕葉は同年代と言う事もあり、仲が良かった。
総)「類は友を呼ぶ…ですかねー…」
などと、呟きつつも、沖田の喉のあたりには、苦いものが滞っていた。
沖田から少し離れた場所で、声が聞こえる。
『鉄君!!ちゃんと洗う!!ここ、汚れ落ちてないよ。』
夕葉が『やり直し』と言いながら、鉄に洗濯物を突きつけた。
鉄)「夕葉、土方さんより厳しーよ…」
『じゃあ、手伝わないけど、いい??』
鉄)「ごめんなさい。」
総)「クス。」
そんな光景を見て、沖田は微笑んだ。
総)「(4人目…あなたですよ。夕葉さん。)」
左)「夕葉、よく働くなー」
新)「ほーんと。」
平)「可愛い小姓を独り占め、なんて沖田さんいいなー」
『原田さん、永倉さん、藤堂さん。』
左)「あは。」
新)「どーもー」
平)「夕葉ちゃんは今日も可愛いなー」
『…そんな笑って誤魔化してもダメですよ。
何してるんですか??こんな所で。』
洗濯物の間から、3人の姿を見つけた夕葉。
『今、稽古の時間じゃ無いんですか??』
左)「…はは。」
『笑って誤魔化さないでください。』
新)「夕葉ちゃん怖いヨ。」
『怖いなら、早く行ってください。』
平)「沖田さんも出てないのに…」
『…沖田さんはー……相手が居ませんから。』
その場を何とか誤魔化した夕葉だったが、沖田にだけは甘い様子。
歩)「ホンマに、みーんな、夕葉ちゃんには頭上がらへんなー」
『そんな事…「「「ありマス。」」」
言葉をさえぎる馬鹿3人組は、それだけ言うと道場に向かった。
歩)「あの、土方さんでさえ、…ホンマ、夕葉ちゃんは最強や。」
・