平安恋歌
□參話
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「…だからだよ。」
彼の悲しそうな微笑を見て、
私は彼を放っておけなくなった。
この悲しげな表情を見せる彼を守ってあげたい…
この人と一緒に居てあげたい…
いや、一緒に居れたら…
私が、この人の支えになれたら…。
そう思った。
「彼女を俺の側に置く。今すぐ部屋を用意してくれ。」
「えっ唐突ですね煤v
確かにかなりの唐突だな…
「いいだろ、詳しい事は後で話す。」
「…分かりました。」
「着物なんかの、必要なものも全て、なるべく早くそろえてくれ。」
「はい。」
そう言うと、男の人は去って行った。
『いいんですか?そこまで、お世話になって…。』
「いいよ、遠慮しないで。だって、それ以外どうしようもないだろ?」
『そうですね…。』
少し心が痛む。
“情け”って感じがする…。
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