銀魂長編

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建物を出て、後ろを振り返る。

窓際に、三味線を持った晋助様の影が見えた。


一度振り返ったが、相手は気づかなかっただろう。
私はもう、二度度振り返らないと決めて、そのまま歩き始めた。





もう会うことは無い。
次に会えば、私たちは敵同士。



私は、この度、真選組の鬼の副長こと土方十四郎と祝言を挙げることになった。


彼を本当に愛しているから決めたことだ。





そんな時に、今回の事件が起きた。

詳細は分からないが、大雑把に言ってしまえば伊東鴨太郎という参謀が真選組を乗っ取ろうとしたという事だ。

そして、その後ろには高杉晋助率いる鬼兵隊が居た。



万斎さんが晋助と会ってくれまいか、と言った。
自分でもよく易々とついてきたものだと思う。


でも、これで良かった。

後悔なんてしていない。





私があの人のことを好きだったのは、もう…過去のことだから。





















全てはあの場所から始まった―





そう、あの人のもとで。









『…松陽先生、』





―あの人を奪ったこの世界を…―


…あなたが恨み壊すというのならば、

私は、愛し守って生きたいと思った。


























陽)「…今日から入った夕葉だ。みんな、よろしく。」

先生が私を紹介した。

教室を見回して、男の子ばかりなのに驚いた。

あの頃はまだ女子には教育は必要ないと、武士の家系の特別な子でなければほとんどは花嫁修業のようなものがほとんどだ。

私は松陽先生の親戚ということもあって、この塾で学ぶことになった。




晋)「女も入れんのか、ココ。」

桂)「高杉。」

桂さんが静かにしろと諭すように言って、彼は気に入らなかったらしく「チッ」と小さく舌打ちした。


思えば、あの頃から2人は仲が悪かったのだ。




『…よろしく、お願いします。』



先生は優しく微笑んで、しっかり学ぶように言った。




―始まりは、みんな同じだった。―















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