銀魂長編

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季節は過ぎ、私がこの町に慣れてきた頃にはすでに夏を迎えていた。



相変わらずお店に通ってくださる土方様に、お酌をしながら聞く。



『今度夏祭りがあるそうですね。』


十)「ああ、あれな。」

『土方様はお祭りで騒ぎそうな感じじゃないですね、』

十)「まァ、俺たちはその日、将軍の警護だしな。」

『お仕事ですか、それは残念ですね。』

十)「何がだ?」

『土方様がよろしければ、案内していただこうと思ってたのに…、』

十)「そりゃー俺も残念だな、」






昔はよく、先生にお小遣いをもらって、みんなと一緒に行ったっけ。
迷子になるな、なんて言って手を引いてもらったの嬉しかったなァ。









十)「楽しんで来いよ。」

『はい、りんご飴でも買ってきます。』

十)「ンなモン食うのかよ。」

『美味しいですよー。お祭りと言えばりんご飴でしょう。』

十)「祭りといえば、…わた飴じゃね?」

『それもいいですね、』

十)「子どもかよ、」

『じゃあ、土方様を見つけたらわた飴差し入れしますね。』

十)「せめてフライドポテトにしてくれ。わた飴食ってたら総悟に笑われる。
もっとも、アイツが真面目に警護の任務で俺の側に居るかどうかが疑問だけどな、」


『沖田さんって、本当にサボり魔ですね。』

十)「困ったモンだ、ド派手にバズーカぶちかまして始末書は書かねーしよォ、」

『でも、そこが可愛いクセに。』

十)「ンな訳あるか、毎日俺を襲ってくる危険人物だ。」







きっと当日、私は警護をしていない沖田さんを屋台で見つけるだろう。

今までも、よく公園のベンチで昼寝をしてサボっていることはよくあった。

そうだな、屋台では射的でもやってるんではないだろうか。




土方様は、暗いから気をつけろ、とか、人ごみで何されるか分からないから注意しとけ、とか、
迷子にならないように、とか、タチ悪いナンパはかわせ、とか…

色々、過保護な忠告を述べて帰っていった。





お祭りなんて久々で、楽しみだ。


神楽ちゃんや、銀さんにも都合を聞いてみよう。







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