黒猫が泣く

□prologue
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その少女は、艶のある黒い髪。華奢な手足。ふっくらとした唇に、少しつり上がった大きな瞳が印象的だった。瞳は色素の薄い青。
俺をジッと見つめた後で、何も言わずに縁側へ向かう。すると突然丸くなって大きな瞳を閉じる。すぐに寝息が聞こえてきて、なんて気まぐれなんだと呆れると同時に、俺への興味がないことへの寂しさを感じた。
風と陽射しが心地良いのか、寝ている間に尻尾が揺れて、尻尾の先に青いリボンで結んだ鈴がチリンと音を奏でる。
苦笑しながら側に座り、そっと頭を撫でてやると、先程は興味を示さなかったクセに、俺に擦り寄ってきて。グリグリと無理矢理に腕の中へ頭を通すと、膝を枕にして再び眠りについてしまった。
「(こりゃ、当分動けないな…)」
ため息と同時に、彼女の尻尾が揺れる。チリン、チリン、と音がして、惚れてしまった弱みなのか、愛おしさを感じて、ふと口元が緩むのを感じた。










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