るろうに剣心長編

□參話
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夕食の時―


左)「おー、やっぱ、美味い!!」

弥)「稽古の後の飯、それが夕葉の手作りなんて最高だぜ!!」


食べ盛りなのか、2人はガツガツと詰め込むように食べている。

剣)「拙者も手伝ったでござる。」

『…頼んでないのに。』

私は、落ち着いてご飯を口に運んだ。




薫)「………。」



私には、その時、寂しそうにする薫さんの顔が見えた。




薫さんの気持ちは知ってる。

薫さんが剣心の事、誰よりも愛しいと思ってる。
剣心に憎まれ口叩くのは薫さんの愛情表現。


私が、それ以上に刺さる言葉言ってても…不安になるんだよね。



でも、ごめん…本当の素直な私を見せたら、きっと止まらない。

ただでさえ、愛しいと想ってしまう心が止まらなくなるから…。


剣心から、気持ちを切り離せたら、きっと…





剣)「夕葉殿??」

『え、…緋村さん、何か??』

剣)「いや、心ここにあらずという感じだったので…。」

『すみません。』

剣)「いや、謝る事では…」

『…そうですよね。』



会話終了。



左)「つーか、夕葉、仕事はどうすんでぃ??」

『んー…ベビーシッター…みたいなのは、無理かなぁ…って思ってるんだよねー…。』

左)「べべ、…その、べ何とかって何でぃ。」

『べびーしったーくらい覚えろよ。あんたの脳みそ、本気で心配になってきたんだけど。』

左)「俺には力がある。」

『馬鹿なのは認める訳ね。』





『…忙しい人お母さんの、子守りの手伝いっていうか…アドバイス、みたいな??』

弥)「そんなん、母親でも無いお前に出来るのかよ。」

剣)「どっちかって言えば、夕葉殿が子供…」

ドカッ―


『…あ、殴ってしまった。』


隣に居たからつい…。



剣)「おろろ…薫殿並みの威力でござる…」




左)「(ちゃっかり、グーで殴ってらぁ…)」


弥)「(つい手が出るって…恐ろしい…)」






薫)「夕葉がやりたいなら、やればいいし…」



薫)「それに、無理しなくていいわ。自分がやりたい事をすればいいのよ。」






『…自分が、やりたい事…。』






『薫さん、ありがとう。』





…自分が、やりたい事、か…。







『…って事で、私も家事、手伝いますから。』


剣)「おろろー…」

さっきの殴ったショックで、まだゆらゆら揺れてる緋村さん。

『…まあいっか。』




左)「…で、何するんだよ。」

『子守りしながら、家でも出来る事。』

左)「それ、何だよ…」

『……教えない。』

左之助が不満そうな顔をしてるから、

『…成功したら、…言、…でも、左之さんには教えない。』


左)「えー…付き合ってやったのに…」

『勝手についてきたの間違いです。』

左)「途中からは自分で頼んだじゃねーか。」

『別に左之さんが居なかったら、近くの人に聞きました。』





剣)「………。」



薫)「………。」







その場で、既に想いが四角形になっている事など、私は知る葦もなかった。






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