るろうに剣心長編
□拾伍話
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ザッ―…
「拙者は、知っているでござるよ。」
『…緋村、さん…??』
剣)「……。」
剣心と、斎藤さんが向かい合う。
一)「お前、過保護だな。」
剣)「過保護ではござらん。」
一)「ここまで、ずっと着いて来て、過保護では無いと…??」
『…緋村さんが、着いて……??』
…そういえば、確かに、ガサッって音が聞こえたような…。
『(こんな事に気付けないなんて、私は…京都に向かっても大丈夫でしょうか…??)』
剣)「拙者は、夕葉を子供だとは思っておらぬ。
拙者の、女性として大切な人だから…急に消えるなど
許す事が出来ぬゆえに、気付けば夕葉の後ろに居た。」
『(…女性と、して…?//)』
一)「そうか…。」
『…それより、緋村さん、彼女の事、教えてください!!』
剣心は、そっと頷いた。
剣)「…彼女と出会った事があると、拙者が話したのは覚えているでござるな??」
『はい。』
私が作った小説を読んで、あまりにも同じだったので驚いた…と、言った。
剣)「彼女は、無事に息子を産んだようでござるが…
…その出産前には、既に病に侵されていたのでござるよ。」
『…それって、もしかして…』
剣心は、頷く。
惣)「…何??」
剣)「…労咳、でござるよ。」
『惣次郎のお父さんはね、労咳で亡くなったの。
惣次郎が、生まれる1年近くも前に。労咳はね、
治らない病気で…それは、感染症って言ってさ、
側に居ると、うつってしまう病気なんだって…。』
剣)「彼女は…息子が生まれたら、自分の手で剣術を教えると言っていたが…」
『…それも、叶わなかったんですね。』
剣)「それは、逆刃刀でござるな。」
剣心は、惣次郎が大切そうに抱えた刀を見て言った。
剣)「…強くなるでござるよ。」
剣心は、そっと、惣次郎の頭を撫でた。
『(本当は、私が教えてあげたいけど…。)』
志々雄真実との戦いが始まった今…。
私は、人と関わる事が許されない。
一)「あいつは、新撰組の女中だった。沖田君は…相当、彼女を好いていた。」
『…大切だったんですね。互いに。』
惣次郎、私が京都から無事に帰ってきたら…
沖田先生の技を教えてあげるからね!!
惣次郎は、ニコッと笑った。
惣)「今日、お父さんとお母さんの事知れてよかった…。
ありがとうね、夕葉おねえちゃん。僕、頑張るよ。」
惣)「お父さんみたいに強くなる。…そしたら、お姉ちゃんを悪いやつから守るからね!!」
『…ありがとう、惣次郎。』
惣)「じゃあ、僕、帰るよ。」
空が赤く染まる頃、彼は去って行った。
惣)「お姉ちゃん、またここに来てね。お父さんとお母さんのところに。」
『…うん。』
私は、少し間を空けたが…その答えしか見つからなかった。
『私、無事に帰ったら…あの子に、剣術を教えます。』
一)「無事に帰ったらじゃないだろ。」
剣)「お主は、必ず、無事で帰るのでござるよ。」
『はい。』
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