その他短編

□夢で学ぶ古典2
2ページ/6ページ






阿)「おい、団長。団長!!団長!!……オイ!!このスットコドッコイ!!!!!」




威)「……あ、何だ、阿伏兎、か。」


阿)「…阿伏兎か、じゃねーよ。さっさと仕事しろ。」


威)「んー…やる気出ない。」

阿)「やる気とかそういう問題じゃねーんだよ!!仕事はやれ!!」

威)「ヤ・ダ。」

阿)「ヤダとか言われても無理だから。」

威)「じゃー…阿伏兎片付けといてよ!!」

阿)「最近、毎日それじゃねーか!!何、全部俺にやらせてんだよ!!このスットコドッコイ!!少しは仕事しやがれ!!」

威)「何?俺に文句言うわけ??…殺しちゃうぞw」


神威は、いっぱいの笑顔を見せる。
呆れた阿伏兎はため息をついて、諦めた。

阿)「はぁ…、もういい。分かった。俺がやる。」


神威は満足そうに、「そ、じゃ、よろしく。」と言って、その部屋を去った。






阿伏兎は、団長の居なくなった部屋でもう一度ため息をついた。



阿)「(夕葉って女が実家に帰ってから、ずっとこの調子だ…。
一時期は、そいつのために仕事やってたのになァ…そりゃ、集中力続かなかったけど。
クソッ、俺、何でこんなに仕事溜め込んでんだよ!!全部、あの女のせいだ!!)」




こうなってくると、今までも大して仕事をしなかった団長が更に仕事をしないという事で、周りが不安を感じるようになってくる。

事務仕事ならまだしも、戦闘任務でもそれが現れ始めたのだ。






「団長、怪我してるじゃないですか!!」

神威は、「大丈夫、」というが、その目は虚ろだ。




威)「(俺が、こんな怪我をして帰ってきても、君は心配して待っていてくれないんだね…。)」


ボロボロになった体を、部下が肩に担ぐようにして支えている。
神威の視線の先には、何も無い。夕葉は居ない。


誰よりも、何よりも、今、欲しいものなのに…。





古代、中国の楊貴妃の例の如く、第七団が滅ぶのでは無いか…。
それに近い危機感を感じた男たちもまた、
「夕葉のせいだ」という恨みを募らせていくのだった。












『神威様、』

神)「夕葉?!」



彼女が一礼して、『ただいま戻りました』と言うと、神威はすぐに彼女の体調を気遣う。

彼女は感謝の言葉を述べて、大丈夫だと言った。

神威は目を輝かせ、すぐに自室に夕葉を呼んだ。




神威の部屋に向かうとき、夕葉の淡い期待はかき消された。

身分のせいもあって、神威の部屋から一番遠い部屋の夕葉は、他の女御たちの部屋の前を通らなければならない。

通り際に、皆が口々に言う。

「もう戻ってきたのか、」「早速、部屋に呼ばれて…」「したたかな女」「図々しい」


そんな言葉を浴びながら、やっとの思いで神威の部屋につく。





しかし、そこには自分の名前を呼びながら笑顔で迎えてくれる神威の姿。

神威は何度も繰り返し、夕葉に愛を伝え、ともに夜を過ごすのであった。












次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ