その他短編
□感動的な話の後には必ずオチがある。これお約束。
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死、んだ……??
―死んだ。土方さんが。
『嘘、ですよね…?』
総)「…綺麗な顔してるだろ(笑)死んでるんだぜ?」
私はそっと顔にかけられた一枚の白い布をめくり、最期の土方さんの顔を見た。
「いや、アレだよね?あの有名な甲子園目指す漫画だよね?あだち○の代表作の。つか笑って何?!」
『嘘だよね、…あのトラクターに3回ひかれても死ななそうな鬼の副長が…』
「いや、それ流石に死ぬよ?つか何その基準。そんなに強そうってか?そんだけしぶといってか?」
総)「ああ、俺が何度殺そうとしても死ななかったクセによォ、死んじまったんだな。(やっと。)」
「いや、副音声が聞こえるんだけど…。やっと、って聞こえたんだけどー。」
私は泣いた。
頭上に電車が通る。
私は川原で、一人で泣いた。
声を、電車の音がかき消した。
「いや、絶対アレだよね?タッ○だよね??南ちゃん気取りだよね??」
土方さん、どうして死んだんですか…。
私、あなたに想いも伝えられなかった。それさえ許してくれなかった。
ずっと、言いたかったのに…。
例えあなたが、今でも他の女性を好きでも、
気持ちさえも伝えさせてくれないなんて、
あなたは本当にズルい人です。
これから先、私はこの気持ちをどうすればいいんですか?
勲)「夕葉ちゃん、明日の葬式には出なさい。」
『………。』
勲)「トシが死んだのを認めたくない気持ちも分かるけど…、
もうアイツはここに居ないんだ。式に出てトシと最期のお別れ、」
『分かってます…、…分かってるけど、まだ…。』
勲)「…しろって言って出来るものじゃないのは分かってる。
でも、明日の朝までには気持ちの整理をしておくように、ね。」
『………。』
次の日、私は形だけ土方さんのお葬式に出た。
でも、ただ座っているだけでお焼香もせず、ただ前を向いていただけだ。
まだ、認めたくなかったから…。
総)「…ヤローに挨拶しなくていいのかィ、」
『…私、まだ認めたくない。』
総)「あんな風に冷たくなったヤローを見てもか。」
『…見てない、…死んだ土方さんの顔なんて覚えてない。そんなの残ってないよ。
私には、切腹だって怒鳴ってる土方さんと、マヨネーズかけまくってる土方さん、
それに、…時々、不器用な優しさと、戦う格好いい姿しか、私の心に残ってない。』
総)「…そうか。」
空を見上げて、こんなに悲しくなるのは初めてだった。
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