その他短編
□感動的な話の後には必ずオチがある。これお約束。
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それから数日―
私は、ずっと土方さんの部屋に居た。
土方さんの使っていた机に伏せて、泣き続けた。
総)「…ここに居たって、ヤローは帰って来ねーんですぜ?」
そう言われても、私はここに居た。
勲)「…夕葉ちゃん、そろそろ、トシの遺品整理してやらないと、さ。」
私は黙ったまま、首を横に振るばかりで、みんなを困らせている。
そんな時、お妙ちゃんが屯所に来た。
妙)「…夕葉ちゃん、辛いのは分かるけど、もうそろそろ前を見なきゃ。」
『…分かってる。』
妙)「仕事のほうも手をつけてないんでしょう?これ以上、みなさんに迷惑をかけるわけには…。」
『…分かってる。』
妙)「だったら…。」
『全部全部、分かってる。土方さんはもう居ないんだって事も、こんな事してたって仕方無いってことも。
…でも、全然言うことを聞かないよ。脳とは違う部分が、私の心が動いてくれない。納得してくれないの。』
妙)「………。」
『…ここに居る人たちは、土方さんが死んだ日も、その次の日もすぐに自分の仕事をしてた。
だって、私たちは真選組だから。私たちが動かなきゃ、どうしようも無いことがあるからだ、
ってそれも分かってる。…だけど、だからこそ私は、この心が納得するまであの人を想って、
納得しないで居たい。忘れたフリも平気なフリもしたくない。正直で居たい。迷惑な奴だけど』
『…それでも、待ってて欲しい。私がちゃんと元の私になって、仕事が出来るまで少し待ってて欲しいの。』
妙)「……そうね、…じゃあ、私は待ってるわ。早く、なんて急かしたりしない。待ってるから。元気になったら顔を見せてね。」
『ありがとう、お妙ちゃん。』
勲)「…お妙さん、ありがとうございました。」
妙)「勘違いしないでくださいね。あなたのためじゃないですから。」
勲)「でも、お妙さんのおかげで、夕葉ちゃんがあんな風にしてる理由が分かりました。ありがとうございました。」
妙)「…近藤さんも、待ってあげてくださいね。」
勲)「はい。」