その他短編
□落し物
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この日の土方さんは、相当ご立腹だった。
歳)「何だ、その女は…!!」
目を光らせるような勢いで怒っている土方に、
いつも通りの笑顔で答える度胸があるのはこの人。
やはり、沖田総司である。
総)「拾ってきました^^」
沖田総司のおかげで、この日、屯所は大騒ぎになったという。
左)「沖田さん?!」
総)「何です??」
左)「沖田先生も男だったんですね!!」
総)「???」
勇)「総司が女を連れてくるなんて…珍しいな。」
総)「不可抗力ですよー。」
総)「少し休憩しようと思って、川原で座っていたら…」
左)「か、川原で、ヤったんですか?!」
新)「左之、うるさいヨ。」
総)「…空から、降って来ました^^」
「「「………。」」」
総)「^^」
………。
「「「えーー?!」」」
絶叫する皆に対し、沖田は笑顔を崩さなかった。
歳)「総司、俺をからかうのもいい加減に…」
総)「からかってないですよ。」
歳)「今回は、かなり手が込んだ悪戯だな。」
総)「悪戯も何も、…事実ですから。」
嘘か本当か分からない、この状況に、誰も声を出す事が出来なかった。
『…ん、』
その少女は、名を明日奈 夕葉と言った。
総)「あ、気付きました??」
『…ッ?!』
その時、女は自分の体が宙に浮いている事に気付く。
『すみません』と言うと、女は沖田に自分を下ろすように要求した。
総)「えー、どうするべきだと思います??土方さん。」
歳)「俺に聞くな。本人が言っているんだ。下ろせ。」
総)「何だかんだで答えてるじゃないですかーw」
沖田は、この様子を楽しんでいるようだった。
『(ここは、一体…??)』
勇)「あのー、総司…??そろそろ下ろしてあげたほうが……って、聞いてる??」
返答に困る土方に対し、ずっと笑顔を向けている沖田は夕葉を下ろす事を忘れていた。
夕葉自身、困っていたが言う事が出来ず…
近藤の声も、2人には届いていない様子であった。
『(ここ一体…てか、豚…。)』
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