その他短編

□暗闇の中で。
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後日、少しばかり、彼女が心配になった。

何故か…また、誰かとぶつかっているのでは無いだろうか…と考えた。



総)「(性質悪いのに引っかかってるんじゃあ…。)」


ただ、出会った見ず知らずの人を、何故こんなに気にしてるのか…。


自分でも、よく分からなかった。




新)「お、総司。今日、非番??」

左)「俺らと島原行くか??」


確かに、非番だけど…

総)「いや、僕は遠慮しておきます。」



新)「ちぇ、つまんねーの。」

つまらないと言われても、興味が無いのだから仕方ない。


左)「総司は、剣以外興味ねーからな。」


なんてよく言われる事だ。




興味なんて、無いはずなのに…何故か気になってしまう。


総)「(気になるというより、引っかかるというか…。)」






総)「(…甘味屋にでも、行きますか。)」




先日、永倉さんは給料が少ないと言っていた。

「総司もそう思うだろ??」と同意を求められたが…



総)「(そうでも無いんですよねー…。)」


僕の場合、お菓子にしか使わないからですね。
あの人たちは、女遊びに使うからすぐなくなるんです。



総)「(実際、何が楽しいのか、よく分かんないなー…。)」


…なんて、考えてる間に甘味屋に到着した。



総)「すみません、いつもの団子ください。」

「はーい。」


団子を食べながら、辺りを見回してみたが彼女は居なかった。

僕は、一体何を期待していたのだろうか。


興味ないはずなのに…。
この、残念なような感覚は何だろう…??



同じ場所に来れば、会えるとでも思ったのか。
そもそも、どうして会いたいと思うのか。




「隊士さん、今日はえらい寂しげやなー…」

店の女に言われて気付く。

これは、寂しいって感覚なのか…。


総)「そうですか??」

「誰か待ってはる人でもおるんやろ??」

総)「そういう訳では…。」



そこに少年が通る。

「母さん、見に行ってもいい??」
幼い男の子が指差しながら母親に問うと母親は言った。

「やめとき。どうせまた、浪士やろ。」
と呆れた様子だ。



総)「(また…か。)」


「桝屋の前でね、女の人が男の人に絡まれてて…。」

という少年の発言に僕はハッとした。



総)「(…下手に出る訳にも行かないな…。)」


僕は新撰組である訳だから…。



でも、そんな考えよりも先に足はその場所へ向かっていた。




総)「すみません、勘定はここに置いておきます。」

「どしたん、えらい慌てて…。」

総)「急用が出来たんです。」

「あら…まあええわ。また来てなー。」


そう言った店の女性に返事をする事無く、僕は桝屋へと走った。






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