その他短編
□汚れた手
2ページ/10ページ
その後、幕末の動乱は激化していく一方。
『…あの、桝屋には長州が潜んでいます。』
歳)「ああ。」
『京都炎上させようとさせているのは、吉田稔麿。
彼も同じく、こちらの話を知り…どちらが罠にはまるか。』
土方は、フッと笑った。
『…情報がこの程度ですみません。』
歳)「いや、充分だ。山崎よりは遅いが、それ以上の情報を持ってきてくれた事、感謝する。」
『いえ、それではこれにて…。』
私は新撰組屯所を立ち去った。
私は、忍から、元の甘味屋の娘に戻る。
『(ただ…。)』
もう、ただの甘味屋の娘で留まる事は許されないようですね…。
「どうしたん、夕葉ちゃん…。」
甘味屋の女将さんは、「前は毎日、店におったやんか。」と言う。
確かに…でも、もう、私は忍に戻るときなのかもしれません。
『…すみません、行ってきます。』
元治元年6月1日。
…あの、池田屋事件まであと4日。
総)「…あれ、今日も居ないんですか。夕葉さん。」
「剣客さん、アンタ、ホンマにここに何しに来てるんよ。」
総)「えー…半分お菓子のため。半分は夕葉さんのため、…ですかね。」
「…うちには、9割くらい夕葉ちゃん目当てに見えるんやけどなぁー…」
総)「そうですか??」
「剣客さんは、冗談9割なんやろ??信用できへんわ。」
総)「アハ、それでいいですヨ。」
・