その他短編

□羊数えるの自体に夢中になったりして 結局 眠れない事も多い
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隊士たちは、近藤局長の接客を観察しているようだった。


隊士の1人が「局長、結婚とか言ってるぞ…??」と言えば、
誰かが、「局長、お妙さんというものがありながら…」なんて言った。



『ちょっと見てもいいですか??』

私は、襖の間からそっと2人の様子を覗いた。



山崎さんが、後ろで「あれは沖田さんのお姉さんですよ。」と言って説明していた。


『…そっくりですね。』

退)「…は??」

『だって、沖田隊長のお姉さんなんでしょう??
そっくりじゃないですか。髪の色も、あと…雰囲気とか…??』


私がそっと微笑めば、隊士さんたちは理解不能というような表情をしている。


何か、優しそうな人…。
きっと、沖田さんの事を大切にしてきたんだろうと思う。


『(って、何で、お姉さん来てるのに私は出かける支度してんの?!)』

隊士さんたちより、私のほうが理解不能です。




そこで、山崎さんは「まぁ、夕葉ちゃんの発言は置いておこう。」と呟いてから話を続けた。



『(なれなれしいな、オイ。)』
誰が、夕葉ちゃんだ。



退)「まァ、あれだよ。ダメな弟を持つと姉は…」

なんて言ってる山崎さんの話を聞いていたら、沖田さんが手招きをしていた。

『???』
私は、戸惑いながら自分を指差す。
沖田さんが頷いたので、沖田さんの方に向かった。



沖田さんの後ろに立った時、沖田さんが「可愛いじゃん」と笑みを見せる。

驚いて、顔をしかめた瞬間にどこから出てきたのか、バズーカ発砲。

『………?!』

気付けば、そこに居た山崎さんはアフロ姿。




局長がそのまま普通に「総悟、ミツバ殿が来てるぞ」と言った。

沖田さんは、山崎さんの服をつかみ、
総)「その前にコイツ始末してからでいいっすかァ??」
と振り向いた。




そこに、沖田さんのお姉さん、ミツバさんは母親のように「総ちゃん、ダメよ」と言う。


『(え、これ日常茶飯事ですけど…??)』


すると、沖田さんが恐るべき行動をとった。








『……、嘘??』


退)「…誰??」



沖田さんは、すぐさま姉の側に行き、頭を下げた。

総)「ごめんなさい。」



その光景に驚かないのは、姉のミツバさんと近藤局長のみだった。


姉に頭を撫でられると、沖田さんは少し顔を染めて喜んでいた。

近藤局長は折角ミツバ殿が来たのだから…という事で、沖田さんに休みを与えた。

笑顔で、江戸を案内してやれと言うと、沖田さんは嬉しそうに礼を言って、姉の手を引いた。


近藤局長は「ミツバ殿は総悟の母親のようなものだ」と言った。

彼は、幼い頃に両親を亡くし、姉のミツバさんに育てられたのだとか。
沖田さんのように頑固な人には、そういう甘えられる存在が必要なんだと言っていた。



山崎さんは「今日の沖田さんは見なかった事にします」と微笑んだ。

嬉しそうに姉の手を引く沖田さんを見て、何故自分が彼のために出かける支度をしたのか…と、自分の行動を実に後悔した。



勲)「ところで、夕葉ちゃん、その格好は…??」

どいつもこいつも馴れ馴れしい…。



総)「おい、来い。」


さっきのお前はどこに行った…??

私は沖田さんに手を引かれて行った。




勲)「俺、夕葉ちゃんの休みまで許可したっけ…??」

退)「さァ…??」





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