その他短編
□勿忘草
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それは、ある日突然の出来事だった。
あれ…??
何だっけ…。
私…確か……気を失って…それで……。
『(それで…。)』
酷い頭痛がするので、意味も無いと分かっていて、頭を抑えた。
それで…何で馬車とかあるの??
みんな着物着てるし…
まあ、私も着物だから、浮いては居ないけれど…
『(お茶会があるとかで…着物着て、無理して帯締めすぎたんだよね。)』
それで貧血になったのか、倒れて…やはり、その後が思い出せない。
「あのー…大丈夫??」
声の可愛らしい、大きなリボンをつけた女性に話しかけられた。
『ん…何とか…大丈夫…みたい、です。(多分←)』
頭は相変わらず痛いけど…。
「剣心があなたが倒れてるのを見つけて…。」
『剣心…??』
どこか、覚えがある名前…。
「この人よ。」
その女性が指差す方向に、緋色の髪の男性が居る。
剣)「無事でよかったでござる。」
優しい声に、優しい笑顔が…綺麗。そんな印象を受けた。
「つーか、こんな所で寝てて、よく馬車ひかれなかったなー…
もう少し、道路の真ん中に寝てたらひかれてたぞ??」
小さい竹刀を担いだ男の子は、頭の後ろで手を組んで言った。
「弥彦!!寝てたって…アンタじゃないんだから!!」
さっきの女性が反論して、男の子の名前が弥彦だと知る。
弥)「じゃあ、何だよ?!」
「気を失ってたの!!女は男と違ってか弱いのよ!!」
弥)「薫が言うと全く説得力ねーぞ!!女要素無しのお前が言うな!!」
薫)「なっ何ですってー?!」
『(薫さん…って言うのか。)』
剣心さんは2人の間で戸惑って「おろー」と言っている。
この3人を、ずっとこのまま眺めておく訳にも行かず…
私は立ち上がろうとする。
しかし…
『わっ』
剣)「大丈夫…じゃないようでござるな。」
苦笑した彼の顔が目の前にあって、私の体は彼によって支えられていた。
剣)「拙者が家まで送るでござるよ。家はこの辺り…」
『分からない。』
「「「え??」」」
『ここが…どこか、家がどこにあるのかも、分からないんです。』
『…ここは、どこですか??』
薫)「ここは、浅草よ。」
『…あさ、く、さ…??』
…浅草??それなら、幾度か来た事があるはずなのに…
馬車…着物の人々…。剣客…??
『(…現代、じゃ、無い…??)』
『…今って、何年…いや、何時代ですか??』
何年かを聞いても、おそらくそこから時代を推測は不可能なので、質問を変えた。
剣)「明治時代、でござる。」
『…明治??』
弥)「何時代って…変なヤツ。」
薫)「こら!!弥彦!!」
『…じゃあ、私、過去に来た…って事ですね。』
弥)「おめえ、未来から来たのかよ…。」
薫)「嘘…でしょう??」
『嘘…だと思うかもしれない。私も嘘だと思いたいけれど…でも、明治時代は平成よりも昔の事です。』
剣)「へい、せい…。」
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