その他短編

□青空と月―中編―
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そして、いよいよ私達に転機が訪れた。

明治9年。十本刀と名づけられた、男達(?)が集まる。

この頃、志々雄さんの“国盗り”は本格的に開始した。



『…始まったんだね。』

宗次郎はニコニコしたいつもの表情を見せる。


この京都を拠点に、様々な村を奪い、そこに来る警官は全て殺した。
やがて、村に警察は来なくなり…村は、明治政府に見捨てられた。


明治11年。5つの村が志々雄さんの領地になった。


私は昔から無知だった。

志々雄さんが言う、「国盗り」って、実際どんな事をするのか分からないし…。


『宗次郎、…あの、“国盗り”って…。』
と、宗次郎に聞けば、「あなたは、僕の側に居ればいいんです。」と言うばかり。

誰も、何も教えてくれなかった。


私は仲間はずれみたいだ…。



宗)「夕葉は明治政府が好きですか??」

私は首を振った。

宗)「じゃあ、いいじゃないですか。それで。」


私は黙っていた。
明治政府は好きじゃない。むしろ嫌い。
私からみんなを奪ったから…。

新撰組のみんなが、私の居場所が…奪われた。



宗)「……、」


宗次郎は、私を見つめる。
その視線に気付き、宗次郎に『何??』と聞けば、
「何でも無いですよ。」といつもの笑顔で誤魔化された。



志)「おい、宗次郎。」

宗)「はい、何ですか??」

志)「お前、もう16だろ??」


宗次郎と、私は何を言い出すのだという顔で志々雄さんを見た。



志)「まだ、夜の営みはしてねーのか??」

『は??///』

宗)「まだでーす。」

(いやいや、何普通に笑顔で答えてんのサ!!)←



宗)「まあ、そのうち…ね。」

そう言って、宗次郎は、そっと私の肩を抱き寄せる。


志)「そろそろヤっとけよ。」

『ちょ、ヤっとけって…//』


志)「お前、忘れた訳じゃ無ーだろ??」

―お前を、宗次郎の女として雇ってやる。


『…いえ、』


最近、志々雄さんは何だか、おかしい…。
何を焦っているんだろうか。

私は下を俯く事しか出来なかった。



その日、私と宗次郎は同室になっていた。
意味が分かっていたから、別に何も言わなかった。


宗)「志々雄さん、強引すぎですよねー。」

『…そうだね。』


別に、いい。宗次郎が抱きたいって思うんだったら…別にいい。



宗)「夕葉。」

『ん??』

私が振り向けば、少し真剣な顔をしてこちらを見る。







宗)「…触れてもいいですか??」













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