その他短編
□悪夢も突然に…。―高杉晋助ver.―
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私、1日よく耐えた。
「よく寝なかったね。」
『…寝れなかったの間違いだけどね。』
優希が偉い偉いと、私の頭を撫でる。
が、今日は「寝なかった」のではなく「寝れなかった」のだ。
火曜日。数学が2時間もある日。(数学の先生怖いんだもん…。)
他の授業にしても、寝てたらたたき起こすような先生ばかりだった。
『優希、帰り道にダ○ソー寄ってもいい??』
「いいけど、…王子様待たせていいの??」
『何の事??』
「ワガママ王子が花札繰って待ってるんじゃない??」
『…あんなん王子に値しないから。』
「花札の部分は否定しないんだ。」
『うん、何か今光景が目に浮かんだ。』
それ、すっごく想像できるから。
『まぁ、寄り道すんなとは言われてるんだよねー…』
「じゃあ、しちゃダメじゃん。」
『大丈夫だよ、見張ってる訳じゃないし。』
「…甘いんじゃない??」
優希が苦笑いをしている。
『何で??…だって、今はこっちの世界。奇兵隊とか言う部下も居ない訳だし。』
「いや、そうだけどさ…」
『家から出てくる訳でも無いし。』
笑いながら言うと、優希が顔を青くした。
『………??』
「…出てきてるよ。」
『………。』
私は笑顔のまま視線が痛い後ろを振り向く。
晋)「よォ。」
『………』
“よォ”じゃねーよォォォォ!!!!!!!
…これで優希の顔が青くなったのが分かった。
私が甘かった。コイツは2日も家で大人しく出来る人間じゃなかった。
『何で?!何で、校門の前で待ってる訳?!』
晋)「暇だったからな。」
『本置いてたじゃん。』
何のために、本を置いて来た。つか、お前が命令しただろ。
晋)「読んだ。」
『んな訳ねーだろォ!!あの量を、1日で読めるヤツ居ねーよ!!どんだけ速読してんだよ!!』
今流行の速読ですか、コノヤロー!!
晋)「…花札は1人では出来ねーからよォ。」
『やっぱ読んでねーだろ!!読まずに花札したくなったんだろ!!』
コイツ、本から花札に話変換しやがった!!
晋)「…早く帰るぞ。」
晋助は私の腕をつかみ、引っ張ろうとする。
『何で飽きねーんだよ、あんだけやったじゃねーか!!
昨日、あんだけやっといて、何で飽きない訳?!』
思いっきり抵抗しながら、晋助と反対方向に進もうとすると、晋助は立ち止まる。
彼は向こうを向いたまま、呟いた。
晋)「…お前は特別だからな、お前みたいな女は飽きねーよ。」
『それで、私がトキメクと思ってんのかテメーは!!』
晋助を後ろから思いっきり蹴りました。
晋)「さっさと帰ってヤるぞ。」
『字が違ってるよ!!読者が勘違いするから!!』
晋)「昨日の夜の事を忘れたのか??」
『花札してただけだろーが!!』
それだけ言うと、私はため息をこぼした。疲れた…。
「夕葉、それじゃあ。」
胸の前に小さく手を挙げて、反対方向に走り去ろうとする優希。
『優希?!逃げる気?!』
最悪だ。あの子、親友見捨てて逃げた…!!
そこに…
「お前ら、校門の前で何やってんだ!!」
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