その他短編

□夢で学ぶ古典
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2.伊勢物語(筒井筒)





師・松陽に勧められた縁談さえも断り、男はある女と結ばれた。


幼馴染の夕葉。幼馴染と言っても、色々と事情があったのだが…

それは次の機械に話すとしよう。



女も男も、互いに好きあっていた。




再会した時、男は背丈、女は漆黒の髪を伸ばしていた。





『背が高くなりましたね。』

女は微笑み、男を見るときに自然と上目遣いをする。


「おう…、もう低杉なんて言わせてたまるかよ。」


男は、女の髪に触れ、「伸びたな。」と呟いた。



『晋助様のためですよ。』

「…あ?」

『だって、長い方が好みだって言ってらしたから…。』

彼女は、少し顔を赤らめて、視線を逸らす。







そして、数年後―

高杉晋助は攘夷戦争目前、彼は仲間との付き合いが大切になった。
そして、仲間と共に色町に行くようになる。



夕葉は何も言わなかった。事情を知っても、ただ笑顔を絶やさなかった。



「(何で、何も言わねェんだ…。)」



「今日も行ってくるからな、」

『はい。』

「どこに行く、とか気にならねェのか??」

『いえ、大切な話なのでしょう??ですから、』

「会う場所に、芸妓居ても、か…??」

『はい。』


彼女は、そう言って、微笑んだ。全く怒る素振りなど見せない。





「(何で、全然怒らないんだ、コイツ…)」



男は、「浮気では無いか」と考えた。



彼は連絡を入れて、その日の会合は休むことにした。

彼は、会合に行くフリをして前栽に隠れた。



彼女が誰か、違う男と会うのではないかと窺っていたが、
彼女は晋助が居ないと分かっているにも関わらず化粧をした。



そして、月を見上げると彼女は呟くように歌を詠んだ。






『風吹けば 沖つしら浪 たつた山 よはにや君が ひとりこゆらむ 』






「(そうか…。)」




「(俺の事、信じて待ってくれてたんだな…。)」









「(それに、ただ俺の事を心配してくれていたんだ…。)」





男は、色町になど行かなくなった。










『晋助様、』

家に帰ると、そう言って微笑む彼女が居た。








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