御題小説
□確かに恋だった:「遅すぎた初恋を語る」
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威)「ねェ、阿伏兎…。」
阿)「何だよ、…一発殴らせろという要求なら断る。」
威)「違うよ。いっつも俺、そんな頼みしかしてないっけ??」
阿)「ああ。」
威)「酷いなァ、」
阿)「酷ェのはどっちだ…。」
俺は、唐突にその言葉を放つ。
本当は認めたくなかった。
だって、それに気づいてしまったら…
俺は、…
一気に…
…弱くなっちゃう、
そんな気がして…
ずっと、その言葉には背を向けていた。
自分がずっと馬鹿にしてたのに…
威)「…恋って何…??」
阿)「…恋って美味しいのか??と言いたいのか…??」
威)「違うヨ。本当の、恋の意味、教えてヨ。」
阿伏兎は結局、「知らねーよ。」と言って仕事があるとか言い訳して去っていった。
いいよ、笑えよ。
自分がよく分かってる。
―この歳になって初恋なんて、本当に馬鹿げている。分かっている。―