御題小説
□確かに恋だった:「自信家な彼のセリフ」
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その人は、ある日突然、私の目の前でこう言った。
威)「君、彼氏居ないでしょ?」
ニッコリとした笑みで、私を見ている。
ただ、船の一部を掃除している私を見て、何が分かるのだろうか。
鬼兵隊の下っ端の私には、何が何だか分からなかった。
威)「ところでさ、何か食べるもの無い??」
意味の分からない一言目の次がこれ。
どれだけ自己中心的なんだろうか…
きっと、この人の周りに居る人は、振り回されていることだろう…
そんな人が近くに居ると思うと、何となく可哀想になってきた、…ような気がしないでも無い。
威)「ねぇ、俺暇なんだよね。」
『そうですか…。』
だからといって、私に何の関係があるのだろうか。
威)「そうって、…つれないなァ、」
そんな事を言っていると、少しゴツめのおじさんがやってきた。
この人の上司だろうか??
さっさと連れて行ってください。
阿)「暇な訳無ェだろーが!このスットコドッコイがぁぁ!!」
こんなゴツい人に怒られても動じない、…大物だ。
阿)「なァ、仕事してくれ。“団長”」
この人が団長と呼ぶのだ。
通常、団長という立場であるからといって、上司が呼ぶことは無い。
たとえば、部下から「課長」と言われているからといって、上司である「部長」が「課長」とは呼ばないだろう。
その原理から考えると、このゴツい人はこのニコニコの部下であって、このニコニコはこのゴツい人の上司であることになる。
…何だかわかんなくなってきた。←
そのゴツい人は、ニコニコ団長によって「あぶと」と呼ばれた。
『(一体、何なんだ…?この人たちは…。)』
まァ、いい。雰囲気的に、関わって得は無さそうだ。
むしろ面倒だし、損得で言えば損だろう。
そう思って、立ち去ろうとした時、
威)「ちょっと待ってよ!」
とニコニコ団長に呼び止められる。
『何でしょう?』
嫌な顔をして振り返れば、
威)「俺のこと、惚れさせてみてくれない?」
『はぁ?!』