御題小説

□確かに恋だった:「自信家な彼のセリフ」
3ページ/3ページ





ササッと、こっそり逃げたところで、人にぶつかる。



『申し訳ありませ…んんんん!!!』


ぶつかった男は「何テンパってやがる、」みたいな視線を向けてくる。


最悪だ…、今日は厄日だ。何だ、いきなり変なみつあみ団長には絡まれて…

それに、今度は総督にぶつかるなんて…!!!



晋)「かまわねーよ。」


え、意外と優しいんだね。もっと怖い人だと思ってたよ。←


『ありがとうございます!!』

晋)「もう掃除は終わったのか??」

『は、まだでございます。今からすぐに終わらせますので…』

晋)「いつも船が綺麗だ。ありがとな。」



えー!!そんな感じのキャラなの?!この人…!!


『いえ、こちらこそ、私などを気にかけていただき、幸いな限りでございます!!光栄です!!』

頭を大きく下げて、礼をすれば、晋助様は「礼を言うのはこっちだ」と言った。


『(優しいなァ、優しすぎるよ…!!…ん??)』

てか、総督って、そんな下っ端の仕事まで把握してるもんなんだ…。(感動!!)



『私のような下の者の仕事も把握されてるなんて、とても光栄です。
こんな素敵な総督様の下で働ける私どもはとても幸せです!!』


総督は、少し間をおいてから「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか、」とおしゃった。














「へーえ、俺の前ではそんな嬉しそうな顔してくれなかったじゃない。」








いやな声が聞こえた。


『あ、』


いつから聞いていたのか、逆光で見えなかった彼の姿が見える。

あのニコニコ団長は、座っていたところから足を振って、勢いを付けて飛び降りてきた。




威)「ふーん、…俺には“失礼します”とか冷たい顔しちゃって…総督の前では愛想振りまくんだねw」

『愛想振りまくって…、純粋に感動しただけですから!!』

威)「暇じゃないんでしょ??さっさと仕事終わらせなヨ。」



晋)「おい、…こいつは鬼兵隊の一員だ。お前の指図で動く義理は無ェよ。」

威)「それもそうだね、^^」


団長さんは、総督の言葉に全く動じずに笑顔のまま答えた。



『(逃げたい…猛烈に逃げたい…!!この二人に挟まれてると、妙に生きてる心地がしない…!!!)』




威)「でもサ、俺、彼女が欲しいんだヨ。ちょーだいッw」

『(いやいや、お菓子ちょうだいみたいなノリで人のこと扱ってんじゃねーよ!!)』




晋)「あ゛?うちの隊員をそんなやすやすとやらねーよ。」

『(総督…!!!…あ、でも、鬼兵隊なのに、何で隊長じゃないんだろう…??←)』




晋)「つーか、こんな奴、テメェんとこに行った所で何の役にも立た無ェよ。」

うんうん、って頷きそうだったけど、え、私ってここでも役立たずの位置確定?!



晋)「諦めろ。」


神)「へー、意外だな。そんなに気に入ってるんだ。君も。」


何が??気に入ってる??何が??何を??


晋)「あぁ、悪ィか??」





神)「それでも、…俺を選ぶ。違う??」

ニコニコ団長さんが私に顔を向ける。



晋)「違うな。コイツは俺のだ。」

総督に後ろから抱きしめられる。


『(ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!)』



神)「正直に俺のこと好きって言っちゃえばいいのにー。」

『正直にって何?!何が?!いや、誰が?!何を?!』


もう、頭がついていかないんですけど…!!







『(てか、この人たちを何とかしてください!!)』












―愛されてる。でも、二人とも自意識過剰。―







この二人の間に挟まれるほど、生きた心地がしない瞬間は無いと思う。













前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ