御題小説
□確かに恋だった:「自信家な彼のセリフ」
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ササッと、こっそり逃げたところで、人にぶつかる。
『申し訳ありませ…んんんん!!!』
ぶつかった男は「何テンパってやがる、」みたいな視線を向けてくる。
最悪だ…、今日は厄日だ。何だ、いきなり変なみつあみ団長には絡まれて…
それに、今度は総督にぶつかるなんて…!!!
晋)「かまわねーよ。」
え、意外と優しいんだね。もっと怖い人だと思ってたよ。←
『ありがとうございます!!』
晋)「もう掃除は終わったのか??」
『は、まだでございます。今からすぐに終わらせますので…』
晋)「いつも船が綺麗だ。ありがとな。」
えー!!そんな感じのキャラなの?!この人…!!
『いえ、こちらこそ、私などを気にかけていただき、幸いな限りでございます!!光栄です!!』
頭を大きく下げて、礼をすれば、晋助様は「礼を言うのはこっちだ」と言った。
『(優しいなァ、優しすぎるよ…!!…ん??)』
てか、総督って、そんな下っ端の仕事まで把握してるもんなんだ…。(感動!!)
『私のような下の者の仕事も把握されてるなんて、とても光栄です。
こんな素敵な総督様の下で働ける私どもはとても幸せです!!』
総督は、少し間をおいてから「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか、」とおしゃった。
「へーえ、俺の前ではそんな嬉しそうな顔してくれなかったじゃない。」
いやな声が聞こえた。
『あ、』
いつから聞いていたのか、逆光で見えなかった彼の姿が見える。
あのニコニコ団長は、座っていたところから足を振って、勢いを付けて飛び降りてきた。
威)「ふーん、…俺には“失礼します”とか冷たい顔しちゃって…総督の前では愛想振りまくんだねw」
『愛想振りまくって…、純粋に感動しただけですから!!』
威)「暇じゃないんでしょ??さっさと仕事終わらせなヨ。」
晋)「おい、…こいつは鬼兵隊の一員だ。お前の指図で動く義理は無ェよ。」
威)「それもそうだね、^^」
団長さんは、総督の言葉に全く動じずに笑顔のまま答えた。
『(逃げたい…猛烈に逃げたい…!!この二人に挟まれてると、妙に生きてる心地がしない…!!!)』
威)「でもサ、俺、彼女が欲しいんだヨ。ちょーだいッw」
『(いやいや、お菓子ちょうだいみたいなノリで人のこと扱ってんじゃねーよ!!)』
晋)「あ゛?うちの隊員をそんなやすやすとやらねーよ。」
『(総督…!!!…あ、でも、鬼兵隊なのに、何で隊長じゃないんだろう…??←)』
晋)「つーか、こんな奴、テメェんとこに行った所で何の役にも立た無ェよ。」
うんうん、って頷きそうだったけど、え、私ってここでも役立たずの位置確定?!
晋)「諦めろ。」
神)「へー、意外だな。そんなに気に入ってるんだ。君も。」
何が??気に入ってる??何が??何を??
晋)「あぁ、悪ィか??」
神)「それでも、…俺を選ぶ。違う??」
ニコニコ団長さんが私に顔を向ける。
晋)「違うな。コイツは俺のだ。」
総督に後ろから抱きしめられる。
『(ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!)』
神)「正直に俺のこと好きって言っちゃえばいいのにー。」
『正直にって何?!何が?!いや、誰が?!何を?!』
もう、頭がついていかないんですけど…!!
『(てか、この人たちを何とかしてください!!)』
―愛されてる。でも、二人とも自意識過剰。―
この二人の間に挟まれるほど、生きた心地がしない瞬間は無いと思う。
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