御題小説

□確かに恋だった:「君が泣く」
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あの日、あなたの涙を見た時から…

あなたの泣き顔が頭から離れなくて、


私は昼間もあなたを気にしてました。





2.笑顔の裏で、君が泣く



でも、涙なんて見せる様子は無くて…


総)「(うーん、…分かんないなぁ、)」




誰かの名前を呟いた彼女の横顔…



きっと、失った人のことを想っていたのだろう。




そんな視線に気付いた彼女が、

『沖田さん??』

と言いながら首をかしげている。




『体調でも優れないんですか??
それとも…何か、悲しい事でもありましたか??』


私を気遣って、…遠慮がちに問う。

そんな様子でさえ愛おしいと感じた。



私はとっさに「いえ、何でも、」と答えたが

彼女も何でも無いというのに納得はしていないだろう。



彼女は『ならいいです』と笑みを浮かべると、自分の仕事に戻った。




総)「(隊務の後でお団子でもお土産に買って帰ろう。…金平糖がいいかな…??)」






そこに、横から肘でつついてくる人が現れる。


平)「沖田くん、沖田くん。」

同僚の藤堂平助さん。



新)「総司にもいよいよ春到来かぁ??」

と怪しげな笑みを浮かべる永倉新八さん。



そして、

左)「何なら俺達が協力してやろーかぁ!!」
と言いながら高らかに笑う原田左之助さん。



そんな原田さんに対して、藤堂さんは「左之の協力ー??あてになんねー」と笑い、

原田さんは「何ィ?!」と言って暴れだす。



この三人に付き合っていたら仕事が遅れそうなので、

総)「(まあいいか、)」



三人は放っておこう。



その場を去って、早々と隊務の支度をした。





屯所を出るとき、彼女を見ればいつもの横顔。





笑顔のままだった。







…でも、






何故だか心が締め付けられるような感覚がある。






彼女は夜の涙を忘れた訳では無い。





今も現在進行形で泣いているのだ。







ただし…誰にも見せない、心の中で。





―笑顔の裏で、君が泣く―











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